世界遺産登録を「平和の追い風」に−ユネスコ親善大使の平山郁夫氏に聞く |
【平壌発=文聖姫記者、文光善記者】11〜15日に訪朝した日本画家でユネスコ親善大使の平山郁夫氏に話を聞いた。朝鮮の高句麗古墳群が世界遺産に登録されるよう支援活動を続けている平山氏は、6月に中国で開かれる世界遺産委員会への対応を朝鮮政府と協議するため訪朝した。 推薦実現に向け 2月6日にパリのユネスコ本部で行われたユネスコ親善大使会議に出席した。その際、朝鮮の関係者に会い、高句麗古墳群の世界遺産登録問題について話し合った。その席で4月の春親善芸術祭典に招待された。この問題と関連しては、これまでもいろいろとお手伝いをしてきたが、とくに昨今の国際情勢を考える時、何とか無事登録を実現させたい、平和につながらないかと考えていた矢先だった。 6月には中国の蘇州で世界遺産委員会が開かれる。友好国である中国が議長国となって議事を進めるので、ぜひうまくいってくれるようにと願っている。4月末には、中国の新体制にあいさつにうかがうべく訪中を計画している。高句麗古墳群の世界遺産登録申請に関する協力要請も目的の一つだ。6月の委員会で登録が決定すれば、8月にマカオで開かれる東アジア文化大臣会議、子ども芸術祭の席上に松浦ユネスコ事務局長も来られて、朝鮮の文化相に登録証書をお渡ししたいと願っている。
今回の訪朝に際して、文化省、芸術保存局、ユネスコの関係者らと会い、そうしたスケジュールについて話したが、ぜひ成功させたいというのが共通した反応だった。 高句麗古墳群にも行ってきたが、きちんと保存してあり、登録には何の損傷もないとあらためて感じた。 イラク戦争に見られるように国際情勢は非常に厳しい状況にある。朝鮮半島の緊迫した情勢を払拭するためにも、世界遺産登録が「平和の追い風」になることを一番願っている。 平和でのどか こちらの方々に、「どうですか? 道を歩く人の顔を見てけんかをするような顔に見えますか」と聞かれたが、実際、平和でのどかな印象を受けた。どこを歩いてもきれいな民族衣装を身にまとった人々であふれ、公園では若者たちが一杯飲みながら歌ったり、踊ったりしていて、緊迫した空気は一般市民からは微塵もうかがえなかった。イラクは事前に塹壕を掘ったり、土嚢を築いていたが、朝鮮では一切そんなことはない。そういったことがもっと広く伝わればよい。 レンギョウなどの花が咲き乱れ、春爛漫という感じだ。テレビでは、40カ国700人が参加した「4月の春親善芸術祭典」の様子が連日放映されている。国交のある国だけでなく、米国など国交のない国からも芸能関係者が大勢来ていた。日本からも野村万之丞さんが参加していたが、彼など若者に人気があり日本国内でも評価の高い人なので、そういった人々が訪れるのは非常にいいことだと思う。 [朝鮮新報 2003.4.24] |