国際法からのアプローチ |
神奈川大学法学部 阿部浩己教授 「民族教育を守り支える神奈川県民の懇話会」で、「民族教育と国際人権法」について講演した。そこでは、人権を実現する市民の責務、植民地支配への日本人としての責任、より良い日本社会を築こうとする意欲という、3つの視点からアプローチ。 国際人権法には6つの人権条約があるが、そのうち民族教育に関係するのは、人種差別撤廃条約、子供の権利条約、社会権規約、自由権規約の4つだという。各国政府、自治体は、これらを実現する法的な義務があるものの、現実には、それを守らせるための市民の積極的な働きかけが必要だ。 また、「20世紀に人類が積み残した、植民地主義という負の遺産を清算しないことには、21世紀はありえない」ことを指摘する。その放置こそが、差別の温床になっているからだ。 「日本を含む先進国が、世界上の不均衡な国際政治、経済的な恩恵を受け続ける一方で、いわゆる『南』の国々は、構造上、不利な状況に置かれている」。人種差別は、そこからも発祥している。 日本社会においては、排除と同化の論理を貫くよりも、多民族、多文化との共生を進めることが必要であると考える。そのためにも民族教育は重要だ。 「まずは地元である神奈川で、こうしたテーマ、課題に取り組み、国が、世界が、変わっていく流れを作っていければいい」 今後も、民族教育を守り支えるため、協力していく構えだ。 [朝鮮新報 2003.2.5] |