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「人間の生の言葉で綴る迫力」−「開放の日まで−在日朝鮮人の足跡」

 「マンセー!、マンセー!、マンセー!」

 映画は、植民地解放の歓喜に沸く、京都在住の同胞たちの姿で始まった。街中にあふれる人、人、人…。 国を奪われ、土地を奪われ、名前を、言葉を、愛する肉親を、そして、人としての尊厳までをも奪われた、わが民族の苦難と、闘いの歴史を記した、長編記録映画「解放の日まで―在日朝鮮人の足跡―」が、8日、東京都中央区の労働スクエア東京ホールで上映された。

 1986年に製作された本作品には、日本帝国主義による朝鮮統監府の設置から45年の朝鮮解放までが、在日朝鮮人の歴史とその証言に沿って描かれている。22年の新潟県信濃川上流の中津川水力発電所工事場における朝鮮人労働者虐殺事件とその真相究明を求める闘い、愛知県三信鉄道建設現場における朝鮮人労働者たちの警察官の武装解除を伴った労働争議、32年の九州筑豊の麻生炭坑における朝鮮人労働者の労働争議、このほか北海道における雨龍ダム工事、夕張炭坑における闘いなどが収録されている。体験者として登場する三信鉄道工事争議の朴斗権、朴広海、麻生炭坑争議の黄学成、北海道の金興坤、蔡晩鎮らの姿がたくましい。

 今日、ブッシュ政権とそれに追随、協力する小泉政権の危険な戦争政策のなかで、過去の歴史を見つめなおし、東北アジアにおける真の和解と平和を築き上げる具体的な闘いとして開かれたこの日の上映会には、関東各地から500人を超える人々が詰め掛けた。場内は立ち見が出るほどの盛況振りで、関心の高さを示していた。

 上映に先立ち、あいさつのため舞台に上がった同上映実行委員会の広野省三さんは、歴史的な「朝・日平壌宣言」発表以降、日本国内において拉致事件が政治的に利用され、マスコミもこれに同調、国民に「北は怖い、何をしでかすかわからない」と、戦前さながらの民族拝外主義を植え付け、戦争への危険な雰囲気づくりを行っていることを指摘した。

 観客らは「書物の上では知っていたが、実際に映像を見て、知らないことが多かった。胸を突かれる場面、感動の場面が多かった」(横浜市、日本人女性)、「漠然と話では聞きかじっていたが、今回初めて系統的にフィルムで見て、本当に昔の日本政府と民間がひどいことをしてきたと思った」(府中市、日本人主婦)、「戦争の歴史が繰り返されようとしているときに、このような記録映画の上映会が持たれたことに感謝する。知識としての歴史ではなく、人間の生の言葉で綴られた足跡こそが、より力強く、語りかけてくれる」(在日2世、男性)などの感想を寄せていた。(潤)

[朝鮮新報 2003.2.18]