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〈みんなの健康Q&A〉 花粉症(上)−原因と傾向

 Q:花粉症はなぜ起こるのですか?

 A:アレルギーという言葉を聞いたことがありますか。これは、身体を本来守るはずの免疫反応が逆に悪さをする場合をいいます。花粉症もそのひとつで、スギ・ヒノキを代表とする植物の花粉がアレルギーを引き起こします。花粉を吸い込むと、これに対する反応物質である抗体が体内にできます。この抗体は鼻粘膜の表面にある肥満細胞という特殊な白血球にくっつきます。そこへ再び花粉が体内に入り込むと、抗体と反応し、化学物質としてヒスタミンなどの刺激物が肥満細胞から飛び出します。これらが神経や血管に作用し、鼻水が出たり、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどを引き起こすのです。

 Q:風邪とよく似た症状だけど、見分け方はありますか?

 A:風邪はウイルスという病原微生物が原因で起こる病気で、熱や頭痛を伴うことが多いけれども目のかゆみは少なく、通常1週間程度で治ります。花粉症の場合は、原因となる花粉が飛んでいる間、症状がずっと続きます。

 Q:花粉症の人が最近増えていると聞きましたが、どうしてですか?

 A:3〜40年前にさかんに植林されたスギが成長し花粉を多くつけるようになったことや、車の排気ガスなどの大気汚染が主な原因と考えられています。その他、土の地面が少なくなり花粉が舞い飛びやすくなっていること、食生活の変化やストレスによる自律神経失調なども関与しています。

 Q:今年も花粉症の季節がやってきましたが、気になる花粉飛散傾向について情報はありますか?

 A:2〜4月にかけて花粉症をもたらすのは主にスギ花粉です。スギ花粉の飛散量は気象条件によって大きく左右されます。暑くて乾燥した夏にはスギの花の芽がたくさんでき、その翌年の1〜2月が暖冬で雨が少ないと、花粉が大量に飛び散ることになります。そこで昨年の気象状況から2003年の飛散傾向を予測すると、関東から東海、近畿では例年より多く、東北北部から北海道南部、九州南部では例年より少ないといえそうです。一般的に、暖冬だと花粉の飛散開始が早くなると考えてけっこうです。

 Q:花粉が飛ぶのに影響する天候について教えてください。

 A:当然のことながら、風の向きや強さに大きく影響されます。まず、どの方向にスギ林があるのか知っておく必要があるでしょう。また、風が強い日には花粉が遠くまで飛散します。一般的に雨の日は飛散が少ないと言われていますが、必ずしもそうではありません。時間降水量が1ミリ以下の微雨の場合は、予報が雨でも飛散すると考えられます。さらに、雨がやんで地面が乾いてきた時が飛散時刻と一致すると、雨の日でもたくさん飛散します。

 Q:通年性の花粉症というつらい状況もあると聞きましたが?

 A:はい、日本では春先のスギ以外にも花粉症をおこす植物はたくさんあります。例えば、夏から秋にかけては、イネ、ヨモギ、セイタカアキノキリンソウなどといった植物の花粉によるアレルギーが有名です。

 Q花粉症になりやすい人とそうでない人では、何が違うのですか?

 A:ひとつには、遺伝的にアレルギー体質を持っているか否かが、大きな分かれ目になります。例えば、両親にスギ花粉症がある場合、その子供がかかる可能性は55〜60%にもなるという報告もあります。それだけでなく、食生活の乱れや睡眠不足・不規則な生活時間といった日常生活の要素が深くかかわっています。もちろん、花粉がたくさん飛んでくるところでは花粉症の人が多くなります。

 アレルギー体質を改善するのは普段の生活を変えるだけではなかなか難しく、かといって決定的な改善薬も今のところありません。(金秀樹、あさひ病院院長、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2003.2.28]