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〈みんなの健康Q&A〉 花粉症(下)−予防と対策

 Q:花粉症になりやすいかどうか、検査をすればわかるのですか?

 A:まず問診、すなわち過去に花粉症と関連のある症状があったかどうかが決め手になります。客観的には、アレルギー性反応の確認のため鼻汁好酸球検査、アレルギー物質を皮膚に付け反応を調べる「皮膚反応試験」や、血液を採って抗体の有無と量を調べる検査が行われます。この抗体量を調べる検査は、植物だけでなく、ほこり、食物、動物の毛などアレルギーの原因となる他の物質についても知ることができます。

 Q:花粉症を予防するためには、どんなことに気をつければよいですか?

 A:できれば風の強い晴れた日は、外出を控えめにしたほうがいいでしょう。外出しなければならない時は、覆い付きのめがね、ゴーグル、マスク、スカーフ、帽子を着用するのも方法です。服は、花粉が付きにくいスベスベした素材のものを選び、髪は小さくまとめて、花粉が付きにくくして下さい。また、家に入る前は、玄関先で衣服や髪、持ち物に付いた花粉をはらうようにします。さらに心がけていただきたいのは、外から帰ったら手、目、鼻を洗い、うがいをすることです。洗濯物は花粉の付きにくい場所に干しましょう。最近は街中でも違和感なく装着できるデザインの花粉制御めがね、口紅がつきにくく呼吸や会話も楽にできる立体構造のマスクなども市販されています。花粉除去専用のブラシや花粉の付きにくい素材でできた外套も売り出されています。

 ところで、新聞やインターネットなどで花粉飛散情報を前もって知っておくと、心構えができて便利ですね。ちなみに、東京都では2月13日までに都内の全域でスギ花粉の飛散開始が確認されています。飛散数ではあきる野市がとびぬけて多く、大田区ではごく少ないとの観測結果が出ています。いずれにしても2月末から本格的に飛散するものと予想されています。

 Q:そういえば、花粉が飛んでくるのは何時ごろが一番多いのですか?

 A:みなさんが最も気になる重要な問題ですね。やはり風の強さと関係がありますが、午前10時頃までは霜や露などの影響もあり、花粉が大気中に放出されることは非常に少ないのです。それからが気温の上昇とともに花粉放出の準備が整います。結局、花粉が数10キロ離れた都市部にまで到達する時刻は、午後3時半頃からピークは5時半頃となります。夕方に一番たくさんの花粉が飛散しますが、少なくとも午後8時にはそれも収まります。

 Q:家庭でできる治療法にはどのようなものがありますか?

 A:何といっても花粉を吸い込まないよう工夫することが一番大切です。

 いわゆる民間療法といわれるものの中で、「おろししょうが湯」や「塩を溶かした番茶」での鼻洗浄、ティートリーの精油を使ったアロマテラピーなどが花粉症の症状緩和に効果があるといわれています。日本茶や甜茶(てんちゃ)などにもアレルギー症状を抑制する効果があるそうですが、速効性はありません。

 Q:薬にはどのようなものがあるのですか?

 A:内服薬にはいくつか種類がありますが、諸症状を引き起こす化学物質が作られないようにしたり、それらが作用しないようにする成分が入っています。以前は眠気などの副作用が問題でしたが、最近はそういった副作用が軽くしかも効き目が長く持続するように工夫された薬が開発されています。また、眼症状、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状のうちどれが主体かによって処方をある程度選択できるようになっていますので、自分の症状をよく医師に伝えることが大切です。

 点鼻、点眼薬は即効性があり、局所使用なので全身的な副作用が出にくいという利点があります。注射薬に関してですが、薬物の蓄積性の問題があること、またあえて使わなくても内服、局所療法で十分に症状を予防、抑制できるとの観点から、今日ではあまり勧められていません。

 減感作療法といって、原因となる花粉の成分をわざと注射することによって、人為的にアレルギー成分に慣らしてしまおうという予防接種的な治療法も試されていますが、まだ決定的な治療法にはなっていません。(金秀樹、あさひ病院院長 東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2003.3.7]