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李昇昊のツボ教室〈11〉−ツボ療法のまとめ

 10回にわたりツボ教室を連載させていただきましたが、試されてみましたでしょうか。身近でよく見られる症状についてのツボ療法を挙げてみましたが、思わぬ効果が出て驚かれている方も少なくないのではないでしょうか。第1回目にツボがなぜ効くのかをまとめてみましたが、今回は、日本における針灸の現状と周辺国の状況について触れて最終回にしたいと思います。

 われわれ同胞にも、針灸の仕事をしている方は増えています。ここ数年の間に、関東にも針灸専門学校が増え、以前ほど入学が困難でなくなっていることも理由でしょう。もちろんウリハッキョを卒業して、定時制や通信制または大検を合格して、専門学校に入学し、3年の専門過程を経て国家試験に合格すれば(合格率約95%)資格が得られます。しかし、私が強調したいことは、その後の下積みの大切さです。やはり、患者を相手に色々な症状に充分対処できるようになるまでは、少なくとも10年くらいの下積みが必要なことは、業界の常識になっています。

 医師の研修期間を考えれば当然のことでしょう。しかし、その下積みをどこで経験するかによって、その後の方向性を大きく左右してしまうのです。医師のように、しっかりした施設を備えておらず、システムも整っていないので、正確なアドバイスをしていただける先輩、知人、友人を多くもつことが大切になります。もちろん、生涯勉強、学習、向上するわけですから、周辺の環境作りはとても大切になります。免許を取ってしまえば一人前と勘違いして、能書きをたれている方が少なくないのは、残念でなりません。

 ご存知のように針灸は、中国で開発され発展し、家庭療法の一端をしっかりと担っている伝統医学なのです。その医学が朝鮮半島に伝来され、引いては日本にも伝承されました。その日本では、現代医学が主流となる以前(約100年前)は、漢方医学が主流で、現在の漢方、針灸医学より数段レベルが高かったようです。共和国ではその伝来医学を発展的に消化し、高麗医学として高度な漢方を行っているようです。南でも同様、韓医学と称して国民医療の一翼をしっかり担っています。数年前にテレビドラマで「許俊」が高視聴率を上げたことでも分かります。もちろん、日本を除く他方では医学大学(6年間)で、しっかりしたカリキュラムにて、漢方、針灸を学んで資格を得ているのです。日本だけが、専門学校(3年間)で針灸を学んでいるのです。

 現代の日本における針灸は、どのように現代医学に組み込むかに躍起になっています。しかし、本来まったく異なる土壌をもつ医学なので、融合には方法論を誤ってはいけないように思います。

 以上の現実をしっかり見据えて、発展向上していきたいものです。

 永きに渡り連載させていただきましたが、ツボ療法を通じて、皆さんの健康とご自分の身体を見つめなおす機会ができたなら幸いなことです。また私の考えに同調され、一緒に考えていこう、ご子弟をこの道に進ませたいなどのご相談がありましたら、ご連絡をいただければと思う次第です。ありがとうございました。(うえの針灸整骨院 李昇昊 東京都台東区東上野2―21―5 TEL 03・3832・6899)

[朝鮮新報 2003.3.7]