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共通の歴史認識育てよう−歴史認識と東アジアの平和フォーラム(上)

 歴史認識と東アジアの平和フォーラム「グローバル化と人権・教科書」(主催=同フォーラム東京会議実行委〈日本〉、日本の教科書を正す運動本部〈南〉、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館〈中国〉、中国社会科学院近代史研究所「抗日戦争研究」編集部〈中国〉ほか)が、2月27〜3月1日にかけて東京都新宿区にある早稲田大学国際会議場で行われ、延べ1000余人が参加した。同フォーラムは、東アジアの平和と未来を共有することのできる歴史認識を若い世代の間に育て、戦争と破壊の歴史を2度と繰り返さないための試みとして日本、南、中国の学会、市民が共同で開催したもの。昨年3月、中国・南京で第1回目が行われ、今回は2回目となる。次回はソウル開催が決まっている。

海外同胞の視点不可欠

 今回のフォーラムでは「歴史認識の現在」「教科書とジェンダー」「過去の克服と『和解』」「グローバル化と東アジアにおける平和」の4分科に分かれて在日、南、日本の各学者、市民団体代表らが3日間にわたり報告した。実行委員長を務めた荒井信一・東京フォーラム実行委員長(茨城大名誉教授)は、「東アジアの平和な発展は諸地域、諸民族の自主性と人権の尊重に立脚するものでなければならず、それを歴史認識に反映させるために努力したい」と述べた。

フォーラムには延べ1000余人が集まった

 2月27日に行われたフォーラム第1セッション「歴史認識の現在」では、在日、南、日本それぞれの視点から、歴史認識についての提言がなされた。

 朝鮮大学校の康成銀教授は、「『統一教科書』をめざした朝鮮学校の朝鮮史教科書改訂について」と題し発表。北東アジア地域のいくつかの民間グループは東アジア共通の歴史認識を探るため共同研究に取り組んでいるが、冷戦、分断体制がそのまま残っている朝鮮半島にはいまだに朝鮮人にとって異論のない朝鮮史像(とくに近現代史像)は存在しないとしながら、南北朝鮮共通の歴史認識を探るためには、本国民のそれにとどまらず、海外に居住する人々の歴史認識を検討することが不可欠だと指摘した。

 康教授は、「なぜなら海外同胞は南北間、朝鮮半島と居住地の間にまたがる存在として、祖国の統一と東アジアの平和に寄与することができる可能性を秘めているからだ。在日朝鮮人を含む海外同胞の祖国に対するまなざし、自国史に対する視点は東アジア共通の歴史認識を深めていくにあたって特別な役割を担うことができる」と強調した。

 続いて康教授は、南北朝鮮、海外の同胞が共有できる「統一教科書」を目指した、03年度の第5次改訂における朝鮮学校の朝鮮史教科書について言及。1920年代から45年の光復までの時期を扱った中級部3年の「朝鮮歴史」教科書を例にあげながら、例えば独立運動では抗日パルチザン闘争のほか、これまで取り上げられることのなかった国外、国内における独立運動などを具体的に記述するなど、とくに冷戦、分断イデオロギーの影響が強い現代史の記述を大幅に改訂、現代史の多様な側面を客観的に記述したことについて述べた。

 最後に康教授は民族教育の現状について、「朝鮮学校は祖国からの援助と保護者の献身的な努力により運営されてきたが、南北分断、日本当局の朝鮮学校政策は学校運営に暗い影を落としており、現在も改善されていない。同学校は全朝鮮民族の貴重な財産であるばかりでなく、日本にとっても真の国際化の試金石ともなる存在。同フォーラムが、現在朝鮮学校が置かれている状況を理解し、今後の支援の契機となることを祈る」と述べた。

朝・日平壌宣言にのっとり

 一方、徐仲錫・成均館大教授(日本の教科書を正す運動本部・常任共同代表=南)は「『北』の日本人拉致事件に対する日本の世論と歴史認識」と題し発表。「朝・日国交正常化は迅速になされるべき」だとしながら、「朝鮮と日本が東アジアで最後の敵対的関係を終息させることは、東アジアにおいて和解と協力の関係を築くためには欠かせない。朝・日平壌宣言にのっとり、日本が朝鮮人民に与えた損害と苦痛に対する謝罪を経済的に補償することが急務である」と述べた。(李明花記者)

[朝鮮新報 2003.3.12]