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コッソンイ作文コンクール1等作品

弟のキョンドギ(李明淑、西播初中初級部4年)

 私が4年生になった今年、弟のキョンドギは1年生になりました。ぴかぴかの学生服とランドセルでニコニコうれしそうに学校へ通う弟が、とても可愛らしくみえます。

 そんなある日、弟に聞きました。「1年生になって一番面白いことは?」

 弟は「コマ(チビッコ)トンネクラブ」と答えたので「どうして?」と聞くと、「オッケチュム(朝鮮のチャンダンに合わせて踊る朝鮮の伝統舞踊)がとても面白いから。僕はオッケチュムの名手なんだ!」。(私の弟がオッケチュムなんて…)私は驚きを隠せませんでした。

 それで「じゃあ、踊ってみて」と冗談のつもりで言ってみたのですが、すぐに踊りだす弟にまたびっくり。興に乗って肩を動かす弟があまりにもおかしくて笑いをこらえていると、「ヌナ、チャンダンを叩いて!」というではありませんか。

 私はテーブルの上に手を置き、手のひらが赤くなるまでチャンダンを叩いてあげました。そうするほど弟はもっと喜んで、肩だけではなく、首や足も動かしはじめました。

 「キョンドギ、民謡も歌ってみれば?」。すると弟は歌い始めるではありませんか。それも「ブランコに乗る乙女」「ヤンサンド」「オンヘヤ」「我らの誇り限りない」「コサリ」を休むことなくです。歌詞はめちゃくちゃですがそれなりに歌うので、夕食の準備をしていたオンマ(母)もいつしか台所から出てきて私たちを見ながらうれしそうにしていました。

 その日の夜、オンマは弟が歌詞を正確に歌えるようにと「ブランコに乗る乙女」と「われらの誇り限りない」の歌詞の下にひらがなをふった紙を弟の机の上に貼ってくれました。弟はとても喜んでひらがなを見ながら何度も歌っていました。

 何日か経ったある日のことでした。オンマが大きなダンボールを持ってきて「開けてみなさい」と言ったのです。「オンマ、これなあに?」「開けたら分かるわよ」

 ドキドキしながらダンボールを開けてみると、私も弟もあまりのうれしさに思わず声を上げてしまいました。「オンマ、これ何?チャンゴでしょう!」「わー、チャンゴだ。すごいなあ」

 私も弟も新しいチャンゴに夢中で時間の経つのも忘れて歌い踊りました。

 夕食が終わってからはすぐにまた、チャンゴです。「ヌナが『ヤンサンド』チャンダンを打つから、キョンドギはそれに合わせて『ブランコに乗る乙女』を歌って」。トーンタッタタン、トーンタッタクターン、ヌンスポドゥル…。

 弟の歌声にいつしかアッパ(父)、オンマの歌声が加わり、家中いっぱいに広がりました。

 歌が終わるとアッパはハハハ、オンマはホホホと笑っています。私はふと思いつき、オンマに聞きました。「オンマ、こんなに騒いだら下の階に住む人や道行く人に聞こえてしまうんじゃないかしら?」「心配しなくていいのよ、ここは同胞が集まって住む朝鮮のトンネなんだから。大丈夫、さあ歌いましょう」

 (そうか、ここは朝鮮のトンネだったんだ!!)

 私は、すぐそばに支部事務所があり、朝鮮の同胞たちが住むこのトンネがとても好きになりました。私たちの家族はトンネ一帯に響けと歌を歌いながら、楽しい夜を過ごしました。

 次の日、弟の机の上に貼った紙には民謡歌詞のひらがなに加え、楽譜が書き込まれていました。弟が民族楽器と民謡をとても楽しみ、オッケチュムまで上手にこなすので、オンマが今度は楽譜まで書き足してくれたのです。

 私はこんなオンマと弟がとても自慢です。私も弟に負けないくらい民謡や踊りをもっと一生懸命練習して、いつでもどこでも歌って踊れるようになりたいです。(原文は朝鮮語、編集部訳)

[朝鮮新報 2003.3.15]