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沖縄戦分けた「明」と「暗」

児童文学者 灰谷健次郎さん

 3月18日、ブッシュのイラクへの最後通告演説の日。東京・学士会館でイラク戦争に反対する集会が開かれ、灰谷さんが沖縄・渡嘉敷島からかけつけた。

 灰谷さんはイラクで戦火が広がれば、あどけない子供たちが傷つくだろうと悲痛な表情で語り出した。そして、哲学者・鶴見俊輔さんがかつて語った「自分の子供に、おまえが自殺するのが許されるのは、おまえが人を殺すのを強要された時と女性へのレイプを強制された時である」という言葉を引用しながら、「人の死を自らの痛みとしなければ、人間とは言えない」と語った。

 灰谷さんは現在、渡嘉敷島に移住して11年目になる。この島は沖縄戦では日本軍によって「集団自決」させられた悲惨な歴史を刻む。渡嘉敷島は4つの島からなるが、その一つの前島は、日本軍が上陸した時に島の学校の校長が、軍の方針に果敢に抵抗して、兵の駐留を拒み通し、結局、米軍から攻められずに済んだという秘話を持つ。

 灰谷さんによれば、敗戦後、この事実は長い間伏せられてきたと言う。

 「日本軍による暴虐によって他の島々の人々が殺されていった。その様を前島島民はすぐ目の前で見ていた。殺されていった彼らと救われた自分たち。そのことを長い間、口にできなかったのでしょう」と推測する。人々を救った校長のこの行動こそ、非武装中立思想に立脚するものだと称えながら、米国のイラク攻撃を支持する小泉首相を非難した。

[朝鮮新報 2003.4.2]