top_rogo.gif (16396 bytes)

〈みんなの健康Q&A〉 脳卒中(上)−脳血管障害

 Q:脳卒中とは?

 A:「脳卒中」という言葉を漢語辞典で引くと「卒然として邪風に中(当)たる」とあります。つまり「突然、悪い風に当たって倒れる」という意味です。昔の人は「悪い風」が原因だと考えたのですが、いまではその正体は、脳の血管が詰まったり破れたりすること、とわかっています。ですから、脳卒中とは「脳の血管が詰まったり、破れたりして、いろいろな脳の症状が現れるすべての状態」を指しているのです。

 Q:脳血管障害にはどのようなものがありますか?

 A:脳血管障害には大きく分けて、(1)脳血管が詰まってブドウ糖や酸素が行き渡らなくなって脳細胞が死んでしまう「脳梗塞」と、(2)脳血管が破れて起こる「頭蓋内出血」の2種類に分類されます。さらに脳梗塞は、ごく細い動脈が詰まる「ラクナ梗塞」、大きな動脈が詰まる「アテローム血栓性梗塞」、心臓の中にできた血の塊(血栓)がはがれて脳の動脈に流れ込んで起こる「心原性脳塞栓症」に分けられます。

 頭蓋内出血の方は、脳の中の細い動脈が破れる「脳出血」と、脳の表面を走る大きな動脈にできたこぶが破れる「クモ膜下出血」に分類されています。

 Q:最近では脳卒中の死亡率は低下していますが、脳卒中は減少しているのですか?

 A:1960〜70年代の日本では欧米諸国に比べて脳卒中の発生率、死亡率が高く、死亡原因の第1位でした。最近では脳卒中による死亡率は低下しておりますが、それでも癌に次いで第2位です。年間人口10万人当たり118人が脳卒中で亡くなり、死亡総数の16パーセントにあたります。しかし、脳卒中になる人の数が減ったとは必ずしも言えません。

 現実に高齢者人口が増加するにつれて、脳血管障害のある人の割合が増加しています。特に脳出血に比べて脳梗塞は年々増加しています。そして、入院の原因としても第2位で、脳卒中患者の平均入院日数は119日と極めて長いのです。

 さらに問題になるのは、寝たきり老人の約4割、訪問看護サービス利用者の約4割が脳卒中患者であります。

 Q:脳血管障害の症状は?

 A:脳血管が詰まって起こる脳梗塞と、破れて起こる脳出血は、まったく違う状態なのに、現れる症状にあまり大きな違いはありません。なぜなら、両方とも脳の細胞が損傷されるからです。脳梗塞も脳出血も、現れる症状は脳の病変がどの部位に起きたかによって異なります。大脳がやられると、体の半身の運動麻痺(片麻痺)や感覚障害、呂律が回らない、言葉が出ないなどの言語障害が主な症状です。脳幹や小脳に障害が起こると、物が二つに見える(複視)、ふらついて手足がうまく動かない(体幹・四肢失調)などさまざまですが、最もひどいときは意識がなくなります(意識障害)。(奈良県立医科大学脳神経外科、朴永銖医師、奈良県橿原市四条町840 TEL 0744・22・3051)

[朝鮮新報 2003.5.1]