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肥満に注意!〈上〉

 高校時代はスレンダーなボディーが自慢のサッカー少年だった。しかし、卒業後、約2年の間にあれやあれやと太ってしまった朴忠寿さん(仮名、31)に、まわりの友人たちは「大丈夫?」と眉根を寄せた。彼はその原因を「不規則な生活と暴飲、暴食のため」と自己分析する。特別な努力もなく、体重は戻らない。

 標準体重の計算式「標準体重=身長(メートル)2乗×22」(※男女共)に、身長1.72メートルの朴さんを当てはめてみると「1.72×1.72×22」で、標準体重は「65キロ」に。10代の頃の58キロはやせ気味、現在の76キロは太り過ぎということになる。

 この計算式は「BMI22近辺で、最も疾患あるいは医学的異常の合併頻度が少ない」とする疫学成績に基づいたもの。現在、肥満は、国際的には@標準体重法、ABMI法、B皮下脂肪厚法の3方法で判定されている。日本では98年から国際的な体格指数法のひとつであるボディマス指数(body mass index:BMI)による方法をWHOおよび国際肥満研究連合(IASO)が使用することに決めたので、BMI法に従うことにした。

「漢方もキケン」

 安蓮実さん(仮名、28)は「親が太っているので、家系的に肥満になるのではないかと心配」している。彼女の友人もダイエットには特に気をつけていて「健康食品を使ったダイエットをカップルでためしている友だちもいる」のだとか。

 これに対し、東京・順天堂大学医学部・内科学教室、代謝内分泌講座の崔正福医師は「健康食品はまがいものが多いので信じないように。漢方も同じく、肝機能障害を引き起こし、死亡した例もある」と警告した。

 崔医師の話によると、現在、「糖尿病治療に有効な漢方薬はおそらくない」という。

 厚生労働省による「国民栄養の現状」で発表された平均BMI値の年代別推移を見ると、男性はすべての年代で上昇しているのに対して、女性は20歳代で低下し、30歳代で横ばいになり、40歳以上になると男性と同様に増加していることがわかる。肥満の推移はこれとほぼ同様の傾向を示している。

 現在、20歳代の女性のやせ傾向は、「過度なダイエットが流行っているため」と考えられている。医療関係者の間では、若年女性のやせによる貧血、月経異常、骨カルシウムの低下などの問題も、今後、健康障害対策として考える必要があると指摘される。

死亡原因の第1位

 ひと昔前までは、少し太っていた方が病気に対する抵抗力がつくので、肥満は「恰幅が良い」「貫禄がついた」というように、ある意味では社会的に高いステータスを意味していた。しかし、今では、「肥満=生活習慣病の最大の誘因」と考えるようになった。

 主要死因別に見た死亡率の年次推移(「日本臨牀60巻・増刊号8」2002)を見ると、戦前から戦争直後にかけては結核が1位だったのに対し、その後は心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病が増加していて、これは肥満者の増加と同一歩調を示している。大腸がん、乳がん、子宮がん、前立腺がんなども、肥満が誘因になっていると指摘される。

 崔医師の話によると、肥満は「食事と運動療法で改善できる」。現に、糖尿病患者が1カ月間に2〜3キロの体重を落とすのはめずらしくない。「食事が第1、第2は運動」なのである。

 次回は、肥満の原因と改善法について考えてみる。(取材協力:順天堂大学医学部、崔正福医師)

[朝鮮新報 2003.5.16]