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高麗人参余話(4)−深山幽谷かきわけて

 今では、山蔘(サンサム)を見つけるのは大海原に浮かぶ小舟を探すのに等しいくらい難しい。

 山蔘が育つ事自体奇跡に近いことである。鳥や獣に食べられた人蔘の実が深山幽谷に落ちて芽を吹き、成長するのだが生育条件が合わなければ2年も経たず自滅してしまう。

 山蔘は生育条件が難しく、繁殖力も弱い。普通、孤立した生育環境に置かれているので、他の植物との生存競争を避けるように深山樹林の陰地で独自に自生する。

 山蔘は、気候や土壌、日照量が変わり、成長に支障をきたす時は自ら寝てしまう。梅雨で山崩れが起きたり、干ばつや山火事にあったり、動物に傷を受けたりすると休眠してしまう。山蔘は土中で2、3年から30年ほど芽を出さず、じっと休眠してしまう。新芽は出ず、根は土の中で細かいひげ根を落として寝てしまう。根は濃い褐色に変わり硬くなって重さも軽くなる。そのまま成長を止め、条件が好転するまで待つのである。成長条件が整えば山蔘は眠りから覚めまた、新しい根をつくり新芽を育てるのである。

 従来、人蔘は高燥冷涼なところを好むと言われている。山蔘が育つには陽が照りすぎても、少なすぎてもよくない。松やもみのような針葉樹と柏、もみじ、栗の木、榛の木、満洲菩提樹、漆の木などの広葉樹の混成林地帯で落葉が積もった腐葉土の褐色土層が好ましい。また、正常な生育で重要な条件は適当な湿度を保つ事だ。湿度が高くても低くてもよくない。排水の悪く、過湿であるとか乾燥した地帯では山蔘は育たない。

 山林の土中温度は、夏は20度、冬はマイナス7度であるが山蔘は零下15度以下でも凍害を受けない。この事から10歳前後の子供たちに山蔘を食べさせると生涯、寒さを知らないで過ごせるとも言い伝えられている。

 天然に自生する山蔘が一番多く分布しているのはウリナラでは海抜200〜300メートルの間で、満洲地方では海抜400〜1600メートルの高地に自生する。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2003.5.16]