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「ハルモニの気概学びたい」−「ある在日朝鮮人海女の半生」埼玉初中で上映会

熱心に話を聞く埼玉初中の生徒たち

 「シンセタリョン―ある在日朝鮮人海女の半生」の上映会が18日に開かれ、埼玉朝鮮初中級学校の文化体育館で約300人の生徒、教員、父母が参加した。

 この映画は民族学校設立のために奔走し無収入だった夫と6人の子供を抱え、70歳まで海女として家族を支えてきた済州道出身の在日朝鮮人海女、梁義憲(87)さんを描いた記録映画。映像は朝鮮通信使の研究者・辛基秀氏が約37年前、カメラマンの金性鶴氏とともに2年間、梁さんに密着して撮影した貴重なフィルムを一部活用している。

 2001年、この幻のフィルムを偶然手にすることになった桜映画社の原村政樹監督が再びカメラを回した。

 この日、上映会に参加した埼玉県戸田市在住の金令分(72)さんは「この海女のハルモニの苦労は、20世紀に朝鮮民族が体験したあらゆる受難を象徴している。自分のアボジ、オモニの苦労を思い出した。この映画はとても素晴らしい。もっと多くの人に見てもらいたい」と溢れ出る涙に声を詰まらせた。

 金光福(中3)さん、呉鳳烈(初6)さんは「ハルモニは海女として何ヵ月も家族と離れて暮らして…それでも苦労を乗り越えて朝鮮人として生きてきた。ほんとに立派です。少し難しい内容でしたが色々学びました。まだ、未完成ということなので早く完成して多くの朝鮮人、日本人に見てもらいたい」

 「ハルモニの今までの生涯がよくわかった。子供達を立派な朝鮮人に育てようと毎日、どんな日でも海女の仕事をしたハルモニの気迫と強い心を見習わなければならないと思った。だから、1世達が守ってきたウリマル、歴史、文化を伝えていきたい」と話した。

 監督の原村政樹さんは「学生たちを対象に上映会ができてうれしい。この映画は、在日朝鮮人と日本人が仲良くしていくためにも多くの人に見てもらいたい。梁さんの魅力に惹かれ次第に朝鮮と日本の歴史を知って行くことができるはず。まず、この日本で大切なことはちゃんとした過去を知ること。日本と南北朝鮮に離散させざるを得なかった『在日』の母親の、それでもたくましく生き抜いた人生と、国境を越えた家族の絆を多くの人々に伝えたい」とこれからの抱負を話してくれた。(文、写真=盧琴順記者)

 ※上映の問い合わせ=TEL 03・3478・6110。

[朝鮮新報 2003.5.26]