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くらしの周辺−グループ登山

 年に何回か群馬同胞登山協会の山登りに参加する。先日も浅間隠山に登ってきた。私は個人登山よりグループ登山が好きだ。ベテランと一緒なので安心できるし、登山を通じて素晴らしい友人関係を築けるからだ。

 グループ登山では、必ずベテランが先導としんがり(最後尾)を務める。先導は後続に気を使いながらペースを考え、途中、適度に休憩を入れる。しんがりは疲れて遅れたり休む人がいたら、いくら先に行ってと言われても、待って一緒に登って行く。

 事故や遭難を防ぐための役割もあるが、最後まで行動を共にするという仲間意識を重視しているように思う。遅れてしまった人も、仲間に迷惑をかけまいと力を振り絞って歩みを進める。

 時間がたつにつれて頂上が近づいてくると、疲れはピークに達してくる。先導の方から「頂上が見えた、あと少しだ、頑張ろう!」という声が聞こえてくると、自然に力が湧いてくる。何ともいえない達成感と解放感がみなぎるようだ。

 グループ登山では、水や弁当を忘れた人がいても、持ってきたものを互いに分け合う。特に女性は、自分の食べるもの以上に持ってきて分けてくれる。年配者は道中、花や樹木、山菜や毒草などの植物から人生経験まで色々な知識を与えてくれる。グループ登山は同胞社会に大切なものを私に気づかせ教えてくれているのだ。

 助け合いと思いやりの相互扶助の精神。同じ目標に向かう仲間意識。苦難を共に乗り越えた喜びと絆。そして何よりも先導としんがりを務める人たちの役割の重要さをかみしめている。(団体職員、鄭哲巌)

[朝鮮新報 2003.6.2]