〈Oh!統一コリア ユン・バンドと在日同胞(上)〉 民族のプライドに驚き |
6.15北南共同宣言発表3周年を記念して、南朝鮮の人気ロックグループ、ユンドヒョン・バンドが来日。東京北区十条台の東京朝鮮文化会館で金剛山歌劇団の音楽ユニット「ヒャン」と「民族」「統一」「青春」をテーマにコンサート「Oh! 統一コリア」を開いた(6、7日)。ユンドヒョン・バンドが来日して在日同胞に接するのは初めてのこと。短い期間ではあったものの、同じ民族として感じることが多かったようだ。 学校
5日、東京小平市の朝鮮大学校を訪れた一行は、学生、教職員らの熱烈な歓迎を受けながら構内を見学した。花束を抱えたユン・バンドの姿に、女子生徒たちは「オッパー!」と熱いラブコールを送る。その声に思わず顔がほころぶメンバーたち。 「みんな明るくてとてもかわいい」と、口をそろえる。教室、運動場、歴史記念館などを見て回り、充実した教育設備に民族教育に注ぐ在日同胞たちの情熱を感じ取っていたようだった。
ユン・バンドのメンバーのうち、ボーカルの尹度玹さん(31)は祖父母が朝鮮半島の北出身、ベースの朴台煕さん(33)の父親は日本生まれで、3歳のときに南に帰った。また、ギターの許峻さん(28)は叔母が日本に住んでいるという。 構内を案内した学生との歓談のひととき。朴さんは「女子学生たちがチマ・チョゴリを着て歩く姿に胸が熱くなった」と話し、尹さんは「チマ・チョゴリがナイフで切り裂かれる事件があったと聞いたのに、民族のプライドを守り続ける精神は本当にすごい」と感心していた。 続いて訪れた金剛山歌劇団では、玉流琴と高音チョッテの音色に耳を傾け、はじめて目にした改良民族楽器に興味を示した。また、舞踊家たちの一糸乱れぬ「チャンゴの舞」に驚きを隠せない様子だった。 差別
異国の地で半世紀にわたり民族教育を実施し、独自の芸術団も設立、活動を行う総聯組織にメンバーたちは感心することしきりだった。 6日に訪れた東京朝高では、具大石校長から民族教育の歴史と現存する日本での差別的な状況について説明を受けた後、十条駅前で、大学受験資格問題解決を求める朝高生たちの署名運動にも協力した。 「学校を訪問して、同胞学生たちが今なおさまざまな差別を受けていることをはじめて知った。同じ民族として、この問題に対して声を高めて行きたいと思う」と尹さんはいう。 今回の来日は、ユン・バンドにとって、この夏発売が予定されている新しいアルバムの製作と、南での公演の合間を縫っての超過密スケジュールの中で実現したものだった。6.15共同宣言発表3周年記念の意義も大きかったが、彼らにとっては、在日同胞たちの生活に触れるまたとない機会ともなった。 想い 2日間にわたる公演を終え、統一への想いを熱唱するユン・バンドの姿に熱狂的に応えた観客たちの姿に、許さんは「これほどまでに反応が返ってくるとは意外だった。在日同胞の統一に対する想いを肌で感じることができた」という。ドラムの金鎭元さん(32)も「『われらは一つ』を『ヒャン』と共演しながら、音楽という共通点をもってひとつになれるということがとてもうれしかった」と語った。 また、尹さんは「今回日本に来て、在日同胞たちが不当な差別の中でも民族のプライドを持って生きていく姿に胸がつまる思いがした。ここで見て聞いて感じたことを、南に帰っても多くの人に伝えていきたい」とメッセージを残した。 ユン・バンドは公演終了後、具大石東京朝高校長に民族教育の足しにと支援金を手渡した。(金潤順記者) [朝鮮新報 2003.6.13] |