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〈Oh!統一コリア ユン・バンドと在日同胞(下)〉 肌で感じた「統一」

 南のアーティストとしては金剛山歌劇団「響」と初めて共演し、朝鮮大学校や東京朝鮮中高級学校の生徒らと触れ合ったユンドヒョンバンド。その過程で、バンドのメンバーが多くのことを感じたように、在日同胞たちも彼らと触れ合う中でさまざまな思いを抱いたようだ。

喜び

「本当の兄のよう」。ユン・バンドと語り合う朝大生

 「南に帰ったら在日同胞や民族教育のことをどんどんアピールすると言ってくれたのが本当に嬉しかった。最初は緊張したけど、私たちの話を真剣に聞いてくれるし、気さくだったのですぐに打ち解けることができた」と話すのは、ユン・バンド一行の案内役を務めた張恵珠さん(外国語学部3年)。

 5日、朝大を訪問したユン・バンド一行を学生たちは熱烈に歓迎した。花束を贈呈し、メンバー一人ひとりに学生がつき、構内を案内した。最初は緊張気味だった学生たちも、構内の博物館で「このオオヤマネコのはく製、かっこいい。誰か写真撮って」とジョークを飛ばしたり、「今から頼んでおくけど、明日の公演はスタンディングで見てほしい」などと気さくに話しかけてくるメンバーと次第に打ち解けていった。

 見学を終えて行われた座談会では、学生たちが「構内を見て回った感想は」「平壌に行った時のことを聞かせて」「休みは何をしているの」と矢継ぎ早に質問を投げかける。メンバーたちは「自分たちを囲んで『オー! 統一コリア』を歌ってくれたサッカー部の歓迎ぶりにはちょっとびっくりした」などと答えながら、「みんな寮で暮らしているって聞いたけど、恋人がいる人はどうやって会う?」などと、逆に質問を投げかけたりした。

 鄭光誠さん(経営学部4年)は、「南のアーティストと話すのは初めて。話してみると兄さんのようで、一つの民族、一つにつながっていると感じた。この気持ちを大切にして統一の門を開くきっかけを作っていきたい」と語った。

興奮

「あうんの呼吸にびっくりした」と話す李綾香さん

 金剛山歌劇団「響」のメンバーは、共演を楽しみながら舞台に立つ時のハートの面、そして技術面で刺激を受けていた。

 ピアノとキーボードを担当した李綾香さん(23)は、「初めて音合わせをした時も、あうんの呼吸でスムーズに行ったのでびっくりした」と、うれしそうに話した。初日の公演が終わった際には、「とても楽しかったし、音楽を通じて一つになれたことでとても興奮した」と感想を述べた。

 「響」のリーダー的存在である河栄守さん(33)は、「音響や照明などのステージ効果はとても勉強になった」。「彼らの持つロックの批判性や破壊性は『響』にも共通するもの。表現法こそ違うが、そこに流れる魂は同じだと思った」と公演を振り返った。そのうえで、「南でも統一や社会的問題をストレートに表現するバンドは少ないと聞いている。それを、ユン・バンドがロックで成し遂げていることに感銘した」。

実感

舞踊手のポーズをまねて記念撮影

 今公演が在日同胞の胸に刻みつけたのは、「統一は身近なものだ」ということだった。

 公演を観覧した50代の女性は、「南のアーティストが東京朝高で公演をするなんて少し前までは想像もできなかったこと。今公演が実現したのはすべて6.15共同宣言があったから。情勢が厳しい中、在日同胞は胸を痛めているが、公演を見て勇気づけられた」と涙ながらに話した。

 2日間の公演中、東京朝鮮文化会館はこれまでにないほどの熱気で包まれた。それは、在日同胞たちが「統一」を肌で感じ、自分たちも統一の主人公であることを「響」とユン・バンドの公演を通じて感じ取ったためではないだろうか。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2003.6.16]