K．A．C（コリア・アーツセンター）創立１５周年とCDアルバム「北と南のアリラン伝説」発売を記念して、２０日、東京都豊島区の東京芸術劇場大会議室で音楽プロデューサー李�負Jさんによる講演会「私のアリラン考」が開かれ、約１３０人が会場を埋めた。

　講演会では歴史に残る南北の名唱を聴きながら、朝鮮民謡「アリラン」の由来と伝説、エピソードとその源流について語った。

　まず李さんはアリランの語源（由来）について、アリランには「アリラン１００説」といわれるほどいろんな物語や伝説があると話し、「古代説」「我離郎（アリラン）説」「阿娘（アラン）説」「閼英（アルヨン）説」「我耳聾（アイロン）説」「我離娘（アリラン）説」「我難離（アナンリ）説」「苦界（コゲ）説」「その他の説」をかいつまんで説明。中でも三国史記をはじめ基本史によく登場する古語の阿利（アリ）という言葉は「長い」という意味で、「那」というのは「水」を意味したもの。それが河川に定住する「アリア」の文化を生み、わが民族の信仰と共に発展し、アリラン文化となり思想となったとする「古代説」が最も有力であると考えられると話した。そして、民謡「アリラン」もそうした過程で生まれ、全国に波及したものと思われると伝えた。

　また李さんは「アリラン」のタイトルについて、全国的に「アリラン」の名で知られているものは本調アリランとキーンアリランであり、その他には「江原道（カンウォンド）アリラン」「密陽（ミリャン）アリラン」など、地名がはじめにつくもの、「初童（チョドン）アリラン」「アリラン世上（セサン）」など、内容がタイトルにつくものがあると話した。

　南北問わず朝鮮人民に古くから親しまれている「アリラン」は、いわば朝鮮の母親像を表す歌でもある。李さんは朝鮮戦争直後の捕虜交換の際に「アリラン」を流して雰囲気を和ませたエピソードなどを語りながら「『アリラン』は民族にとってはオモニであり、在日にとっては祖国のような存在である」と話した。そして、悠久なアリラン文化の研究を深め、継承していくことが在日文化の継承にもつながると話していた。

［朝鮮新報 2003.6.30］