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50年ぶりの故郷訪問を本に

「故郷を訪ね半世紀」を出版した 朴在洙さん

 「故郷を訪ね半世紀」(朝鮮語)−今年8月に自費出版した本のタイトルである。50余年ぶりの故郷訪問の日々を綴った。故郷は慶尚南道の巨済島横にある七川島。2002年4月に総聯同胞故郷訪問団として、同年10月に釜山アジア大会総聯応援団として故郷の地を踏んだ。

 「すべては2000年の6.15北南共同宣言のおかげ。民族和解と統一への道が大きく開かれたのと同時に、故郷への道が閉ざされていた在日同胞にとっても画期的な意義をもつもの」

 「10年たったらもどってきます」という言葉を父母に残し故郷を離れた。それから50余年。訪ねた故郷の父母の墓の前で、しばしうずくまり沈痛な心を抑えられなかったという。幼かった弟、妹たちは孫を持つ年齢になり、子どものころに共に遊んだ友人たちはすでにこの世を去っていた。

 「平壌にいる娘のためにこの本を出しました。今は北と南にわかれ会えないが、いつか会える日が来る。故郷にいる自分の叔父、叔母のことを娘に伝えたかった。同時に、在日の若い世代に1世の故郷への思いを伝えることが日本社会で民族性を守っていくことにつながると思った」

 幼い頃の父母の思い出や故郷での日々を、感情をできるだけ抑え淡々と綴っていく。祖国の統一と愛国運動に生涯を捧げた1世の原点を知ることができる。

 若い世代の同胞に1人でも多く読んでもらいたいと語る在洙さん。今後、日本での愛国運動の体験も本にまとめたいという。

[朝鮮新報 2003.10.1]