〈みんなの健康Q&A〉 糖尿病−食事と運動 |
Q:糖尿病と言われて、がっかりしているのですが、糖尿病は汚い病気ですか? A:最近の調査では6人に1人が糖尿病の疑いということで非常に多い病気です。人類の歴史はずっと飢えとの闘いで、昔は空腹であっても血糖が高く維持されて良く働けるという有利な体質であったと思われます。状況さえ違えば、地球に優しい涙ぐましい体質といえます。養生さえすれば長生き出来ます。 Q:クスリを飲めば治りますか? A:糖尿病は一時的にクスリを飲めば治ってしまうという病気ではありません。高血圧などと同じように、良くコントロールをしてゆく病気です。まず食事療法、運動などをして、場合によりクスリ、インスリンを組み合わせてコントロールしていきます。ヘモグロビンAicを6.5%、空腹時血糖120mg/dl、食後血糖170mg/dlを目標とします。 Q:糖尿病は必ず症状がありますか? A:口渇、多飲、多尿といった典型的な症状があるのは相当に進んだ状態です。普通はまず症状がないといえるでしょう。血糖が300mg/dl、400mg/dlでも症状がない人がいます。コントロールを良くして合併症を防ぐためには定期的に血糖を測定する必要があります。家族に糖尿病のいる人、肥満、高血圧の人は糖尿病発症の可能性が高いので年に数度、血糖などをチェックしてください。症状がなくても入念なチェックが必要です。 Q:合併症について教えてください。 A:合併症がなければ糖尿病は少しも心配ないのですが、症状がないからといって放置しておくと、どんどん合併症が出てきます。それもすぐにではなく10年〜20年の経過を経て出てきます。典型的な合併症は網膜症、腎症神経障害です。盲目、腎不全などに進んでしまう可能性があり、これが一番つらいことです。コントロールを良くすれば合併症を防いだり進展を抑えたりできます。良いコントロールで神経痛が改善したり、腎不全の進行が止まったりするケースがあります。 Q:食事療法について教えて下さい。 A:バランス良く、適量を摂ることです。何を食べてもかまいません。できるだけ多くの種類を摂って下さい。腹いっぱいではなく、おいしいなと思ったところでやめるのがコツです。在日同胞の場合、味の濃いのを好む傾向にあります。できるだけうす味にする必要があります。野菜を多く、肉類よりも魚を多く摂るようにして下さい。男性はアルコールを減らすこと、女性は間食を減らすことに努めてください。よく噛むことも大事です。一口、20回噛みましょう。 Q:運動療法は? A:1人で、どこでも、いつでもできる運動が良いです。おすすめはウォーキングです。できるだけ歩きましょう。2本の脚があなたの主治医です。しっかり歩けばしっかりあなたを支えてくれます。エレベーター、エスカレーターはやめてできるだけ階段を利用しましょう。体に障害があって歩くのが困難な人でも何とか手足、体を動かすようにしてください。 運動で体重を減らすのは困難ですがインスリンの効き目を良くします。 Q:インスリン治療をすすめられていますが。 A:色々なクスリがありますが、やはりインスリンが一番安全で、有効性があります。注射は誰でも嫌ですが、とりあえずインスリンで高血糖を是正する必要があります。正常化されれば、また経口剤でコントロール可能になることがあります。高血糖を放置しないことが大切です。 Q:糖尿病では脳血栓、心筋梗塞が多いと思いますが? A:10年ぐらい動脈硬化が早く進むといわれています。血糖のコントロールとともに高血圧、肥満、高脂血症のコントロールが必要です。また、禁煙をぜひ実行してください。(李輝雄医師、共和病院内科李花診療所所長、大阪市生野区勝山南4−16−10 TEL 06・6718・2221) [朝鮮新報 2003.10.3] |