南のグループ「ウリナラ」初来日コンサート |
「私は南韓の人ではない/私は北韓の人ではない/私は南朝鮮の人ではない/私は北朝鮮の人ではない/私は三千里江山ウリナラの人だ」。超満員のホール内に力強い歌声が響きわたった。統一祖国への願いを込めた歌を歌い続けるグループ「ウリナラ」の初来日コンサートが11日、兵庫県の尼崎市立労働福祉会館大ホールで開かれた。主催は日本人、在日同胞の有志らで構成された「初来日ウリナラコンサート実行委員会」。7000万同胞がこれ以上離れては暮らせないことを切々と歌った彼らの熱唱に、訪れた600人の日本人、同胞らは感動を抑え切れない様子だった。 踊り出す人も
コンサートはメンバーがアカペラで歌う「われらの願いは統一」で始まった。「イムジンガン」など北の歌も交えて統一をテーマにした楽曲が続く。昨年6月に米軍の装甲車にひき殺された女子中学生、ヒョスン、ミソンを題材にした「どれ程、またどれ程」では、メンバーは手にろうそくをかざし、「ろうそくデモ」を表現しながら熱唱した。背景には朝鮮戦争以降の朝鮮半島における米国の残虐行為が映像で流され、米国こそ朝鮮分断の元凶であることを見る者に伝えていた。 曲目が変わる度に客席からは割れんばかりの拍手が鳴り響いた。歌声に合わせて手作りの統一旗を振る神戸朝高生たちの姿も。チャンゴやケンガリのリズムに合わせての「エヘラ 統一よ」では客席から飛び出してオッケチュムを踊り出す人々で場内の盛り上がりは絶頂に達した。 最後は、舞台と客席が一体となって「われらの願い」の大合唱となった。 「共通の課題」 「感動のひと言に尽きる。このような集いはしょっちゅう開くべきだ。日本で統一運動は静かだが、こんな時こそ活発にしていかねばと改めて感じる」と感想を述べていたのは尼崎西商工会の文永碩会長(61)。自営業を営む具正一さん(49)も、「分断のためになめてきた民族の悲惨さを思い起こしながら、大きな感動を得た。日本の人々にも統一に協力してくれるよう訴えていきたい」と感慨無量の様子だった。
統一旗にメンバーのサインをもらっていた神戸朝高2年生の「梨恵さんは、「早く統一が来ればよいのに。知っている歌がたくさん出てきて楽しかった」。 日本の人たちの姿も。 「南北の統一は朝鮮の人々にとってだけでなくわれわれにとっても共通の課題。コンサートを通じて心が一つになっていくのを感じた」(尼崎地区労代表の酒井浩二さん、46)、「厳しい時期に『ウリナラ』を呼んで同胞のみなさんもうっ積した思いから解放されたのではないか。アジアの平和、朝鮮半島の平和のためにわれわれももっとしっかりしなければ」(全港湾の中村猛さん、59)などの感想が聞かれた。 「ウリナラ」メンバーの1人、キム・キョンラクさん(34)は、「同胞たちの暖かい歓迎ぶりにうれしさがこみ上げてきた。やはり1つの血筋であると感じることができた」と語っていた。 思いが1つに 同コンサート実行委員長の今西正行兵庫県議は、「武力で人の心を変えようとする国際社会を支持する国内世論を許してはならない。日朝、日韓の連帯、朝鮮の自主的平和統一を日本国内から支持するべきだ。文化、芸術交流を通じて花咲かせてほしい」とあいさつした。 自治労尼崎市職員労働組合の東新均書記長も、「複雑な時代だが、統一に手助けになれば」とコンサートの準備を進めてきたと話す。 「在日の中で南北の和解と交流を実現させる契機になれば」「同胞たちの中で統一への思いが薄れてきた側面は否めない。もう一度認識する機会になればと思った。日本の人々に反戦平和を訴えるよい機会になるとも感じた」。同胞の関係者の間からもこうした声が聞かれた。 そのような日本人、在日同胞の思いが1つになって実現したコンサート。 「同胞とともに統一への思いを分かち合える良い機会になれば。6.15共同宣言の履行が統一につながることを改めて訴えたい」 「ウリナラ」代表の姜相求氏(32)のこの思いは十分に伝わったようだ。 なおこの日の1部では、「鼓情炎」による和太鼓の演奏、尼崎東朝鮮初級コーラス部の合唱、尼崎朝鮮初中級学校舞踊部の小太鼓の舞、兵庫朝鮮歌舞団の独唱と踊りが披露された。(文聖姫記者) [朝鮮新報 2003.10.16] |