〈高麗書芸研究会第12回全国展〉 匂い立つ朝鮮文化の精華 |
書芸(道)は、はるかに広がる深奥な世界である。4日から9日まで開かれた高麗書芸研究会第12回全国展を見て、そう思った。 「古代朝鮮半島の高句麗、百済、新羅こそ、日本仏教の直接の故地である」(田村圓澄九州大名誉教授)の言葉通り、朝鮮3国の仏教の一大隆盛は、東アジア全域に豊かな文化の恵みをもたらした。 当時、仏教の経典などを求めて朝鮮3国の高僧たちは遠くはインド、ペルシャ、アラビア、中国などへも旅して、深遠な哲学や高度な学問を学び、それを自国に持ち帰り熟成させ、後に日本へと伝えた。この時に花開いた高句麗、新羅、百済の仏教文化を母にした書芸が今も朝鮮半島の源流として脈々と伝えられているのである。つまり、書芸はすばらしい朝鮮文化の精華であると同時に、世界に向けて窓を開き、国際交流に励んだすえの果実でもあったのだ。 高麗書芸研究会の張允植会長の作品はまさしくそうした先達のスケールの大きさを見事な漢詩によって表したもの。01年、高句麗の故地集安を旅して、広開土王陵碑の前に立った感激を詠んだ。張会長は95年から連続5年間、シルクロードを旅して朝鮮3国の僧たちがたどった5つのルートを踏破した。 「よく知られている新羅の名僧慧超は遠くシリアまで旅して唐の都長安に赴いて『往五天竺国伝』という紀行文を著した。これは20世紀に入って、仏の探検家によって敦煌石窟で発見されて話題となった。こうした世界最高水準の文化と国際性によって朝鮮の書芸の今がある。その感激を作品に込めた」 本展のもう一つの特徴は、8月にソウルと全州で行われた南北、在日による「民族書芸交流展」の成果を展示して、書から表れる3者3様のユニークな特徴を観る人それぞれに感じさせたことである。その折の感激的対面を詠んで本展に寄せたのは南の書家キム・ソンジャン氏。「筆が結んだ一つの民族」という書を出品した広島在住の韓静資さんとの出会いをこう詠んだ。 「『われらの願いは統一』をうたう。…韓先生涙する。頭を垂れて、ハンカチ握りしめたその姿。熱い望郷の思い、火花となって燃えた」 出品作は朝鮮伝統の時調、漢詩、自詠詩など多岐にわたった。賛助作品のうち北の作品には民族の気概が脈打つ気宇壮大な気分が、南側のものには華やかで、前衛的な気風があふれており、在日の作品には望郷の念と祖国統一を希求する強い思いがにじみ出ていた。(朴日粉記者) [朝鮮新報 2003.11.8] |