〈第36回在日朝鮮学生中央芸術コンクール〉 審査委員の講評 |
朝鮮学校に通う生徒たちの芸術の祭典、第36回在日朝鮮学生中央芸術コンクールが1、2日、大阪府東大阪市の大阪朝鮮文化会館と周辺施設で行われ、各地から約1600人の生徒が参加した。コンクールは声楽、民族器楽、洋楽器、舞踊の4部門に分けて行われ、出演者たちは、民族情緒豊かに1年間磨き上げてきた技と芸術性を競い合った。各部門別、審査委員の講評を紹介する。 声楽部門 発声、表現方法ともに課題となっていた点を解決していっていると思われる。特に高級部の水準が高かった。学校別に見ると、愛知中高・中級部の女性重唱、高級部の女性重唱と合唱、東京中高高級部の女性重唱と合唱が清らかな和音の響きと高い表現力で優れていた。広島初中高と神戸朝高もレベルアップし、学校ごとの格差が縮まった。 今後の課題は、質を高めるとともに、人数拡大の問題を解決しなくてはならない。重唱、合唱では、人数が少な過ぎるとアンサンブルの水準を高めるのに限界がある。より多くの学生たちの参加を望む。 民族器楽部門 全般的にハイレベルで近年来ない豊作の年であった。高級部合奏部門では、東京、神奈川、広島、愛知がすばらしい演奏をし、中級部では、広島の「ムルレタリョン」が作品のテーマ、内容をよく表現し、聴く人の心に響く良い演奏をした。 今後は民族特有の「味」を表現できるよう、チャンダンの研究を深めるとともに、作品ごとのテーマにあったより深い演奏をするよう心がけることが大切だ。 打楽器部門でも、各楽器の特性と役割をよく把握し、ただ楽器を打つのではなく、演奏の基礎をしっかり磨いた上でチャンダンの抑揚を表現していく必要がある。 洋楽器部門 日頃の練習成果が惜しみなく発揮された。中級部重奏部門では、岡山、北九州の演奏が良く、高級部重奏部門では、神戸の木管重奏が重奏の特性を生かした良い演奏だった。 中級部合奏部門では、尼崎初中の演奏がアンサンブルの水準も高く、各楽器の音色が洗練されていて曲をとても良く表現していた。高級部合奏部門では、創作曲「曙光」を演奏した神戸朝高の演奏がアンサンブルの水準も高くすばらしかった。 舞踊部門 年間を通じたサークル活動の成果が余すところなく発揮された。朝鮮学校で学び卒業していく学生たちの誇りと力強さ、祖国統一への願い、在日1世のつらい過去を忘れまいとする決意を込めた作品など、すべての作品のテーマが良く、学生たちの踊りは民族情緒たっぷりで洗練されていた。 引き続き日頃の訓練を積みながら姿勢を正していくことが課題となる。そのため基本動作の訓練を怠らないこと。1つひとつの動作を大切にし、乱雑な動きを克服すべきだ。作品の内容を十分表現できるよう情緒を深める必要もある。高尚な感情を滑らかな流れの中で表現できるよう、さらなる努力を求む。 [朝鮮新報 2003.11.11] |