高麗人参余話(20)−開城産の美しい形 |
人蔘の根は宿根性の肥大根で脳頭(蘆頭・地下茎)、主根と支根、細根からなる。そのほとんどは主根と2〜5個の支根からなっていて微黄白色を帯びている。根の形を左右するものは土壌の環境、つまり理学的性質と雨すなわち水分との関係である。 栽培人蔘は6年根がよいとされる。山蔘は生育が遅いが栽培人蔘は生育が早く4年から6年で充実する。山蔘は人知れぬ深い山奥で苛酷な環境の中で育つので発育が遅いのは当然である。栽培根の発育は6年までは順調に大きくなるがそれ以後は成長が遅れ、繊維質が増えまた病気にかかりやすい。 1年根は鉛筆の芯のような太さ(1グラム以下)であり、2年根は鉛筆の太さ(3〜5グラム)、3年根は万年筆の太さ(10〜25グラム)、4年根からは早く育ち20〜35グラム、5年根で50〜70グラム、6年根で60〜100グラムになり人に似た形が多くなる。 高麗人蔘は多年生であるので毎年春になると土の中の根から新芽が出て大きくなり秋になると乾いてなくなってしまう。そのとき主根の頭に1年ごとに着生した痕跡を残すがこれを脳頭(蘆頭・地下茎)と呼びその形は様々である。1年に1つずつ痕跡を残すので脳頭の数を数えると何年産かも分かる。脳頭は人蔘の品質を評価するときに重要な要素になるものでこの部分が脱落したり、弱かったりすると低価格品にされてしまったりする。高麗人蔘は脳頭の肥大していることを特徴として、他の産地の人蔘と区別している。 人蔘は根のかたちによって商品価値が左右される。高麗人蔘は脳頭、主根と支根の均衡が保たれ、一種の風格を備えている。特に開城産の高麗人蔘は胴が短く、足が太く女人のような美しいかたちをしている。一方、日本では漢方薬でスライスすればたくさん取れるので胴が長く大きいものを好んでいる。人蔘の主根と支根の上段部には指輪をしたようなしわがある。山蔘のしわは規則的であるが栽培人蔘では若干不規則的である。1年生人蔘にはしわがなく2〜3年生からしわができ年数が経つほどしわが多くなる。人蔘の根には特殊な収縮特性がありその結果根にしわがよるのである。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2003.11.28] |