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第5回冬季アジア大会−「一つの民族」をアピール

 統一旗を先頭に掲げての北南合同行進など、「朝鮮半島」が主役を務めた感のある第5回アジア冬季競技大会(青森、1〜8日)が幕を閉じた。今大会で朝鮮民主主義人民共和国は、女子ショートトラックで銀、銅メダル1つずつを獲得し総合6位。南朝鮮は金10、銀8、銅10の計28個のメダルを獲得し総合2位の成績を収めた。一方で日本のマスコミが、朝鮮選手団を執ように追いかけ選手たちを不快にさせる場面が度々あった。大会を振り返ってみた。(文・金明c、写真・盧琴順記者)

大会の一番の注目に

閉会式、片手に統一旗、片手に互いの手をしっかりにぎり入場する北のリ・ドンホ団長(左)と南のシン・ヒョンテク団長

仲良くスタンドに手を振る北南選手たち

 大会で一番の注目を集めたのは、なんと言っても「北南合同行進」と「朝鮮選手団がどのような活躍を見せるか」だった。

 大会期間中、北南の選手たちは、「一つの民族」の力と民族の願いは統一だということを全世界に向け発信した。

 逆に、「拉致事件」判明以降の反朝鮮感情を反映するかのような日本のマスコミ陣の執ようなマークが選手を刺激。マスコミ陣は競技そっちのけで朝鮮選手団の行動に目を光らせた。

 選手たちは落ち着いて行動できず、それが「競技にも少なからず影響を与えた」(リ・ドンホ団長)のは確かだ。

 一方で、開・閉幕式での合同入場、南北体育交流の意向書交換など、北南選手団の交流はおおいに深まった。

 当初は実現されないと思われた合同入場も、開幕式の前日に電撃的な合意がなされた。

 総聯と民団の合同応援が実現されなかったのは残念だったが、一つとなった民族の思いは7日、「歌」となって表れた。

みごと銀メダルを獲得した女子3000メートルリレーの選手たち

 ショートトラック女子3000メートルリレーで1、2位を飾った北南の選手たちが表彰台に上がると、場内の応援席から、「われらの願い」の歌が。表彰台に上がった北南の選手たちも肩を組み共に歌った。となりにいた南の記者は感極まって涙を流し、固い握手を求めてきた。

 南の選手は記者会見で、「『われらの願い』がとても感動的な歌だということを初めて知った。この歌を歌わなくていい日がいつ来るのか…。そう思うと胸がいっぱいです」と涙ながらに話した。

大会マスコットキャラクター「ウィン太」に握手を求めるアイスホッケーの選手たち

 この雰囲気は閉会式まで続いた。式に先立ち行われた交流会では、北南の選手たちが前日の感動を互いに話しあっていた。

 開会式のときから仲良くなっていた北の男子ショートトラックのハン・サングク、ロ・スンチョル選手と、南の女子カーリングのパク・チヒョン、キン・ミヨン選手は、互いに写真を撮りあうなど、昔からの親友のようだった。

 「合同行進から始まり閉会式までとても充実した日々を過ごせた。成績はふるわなかったが、南の選手と話し、いろいろなことを学んだ。短い期間で、こんなに仲良くなれるなんて。やっぱり同じ民族だと感じる」(ロ・スンチョル選手)

興に乗ってポーズをとるフィギュア選手たち



 「開会式で出会った時からすぐ打ち解けた。統一すればいつでも会える。そのことを胸に練習に励み、次も必ず会おうと約束した」(パク・チヒョン選手)

 閉会式にも両団長ががっちりと手を握り合同で入場した。表情は和み、終始笑顔が絶えなかった。

 観衆も北南の合同行進にもう一度大きな拍手を送った。

総聯、民団同胞も応援

終始笑いが絶えなかった歓送会

 大会期間には、各地から多くの同胞が応援に駆けつけた。民団同胞も会場に集まり、北南双方の選手たちに声援を送る場面が何度も見られた。

 留学同東北に所属する鄭大道さん(20)は、連日会場を訪れた。「アイスホッケーの北南の試合は本当にドキドキした。複雑な気持ちだったけど、どちらにもがんばってほしい気持ちでいっぱいだった」と話す。

 青森県在住の洪南杓さん(76)と朴順伊さん(73)は、「朝鮮選手団はこの情勢の中、よく来てくれた。とても感激したし、メダルも取れてよかった」と口をそろえた。

 民団同胞の応援席に座っていた趙由理さん(21)は、「南北が一緒になっている光景を初めて見てとても感激した。スポーツは政治と無関係。南北選手団のこれからの活躍に期待したい」と語った。

 両選手団は、「一つの民族」を青森からアジア、そして世界へアピールした。

[朝鮮新報 2003.2.14]