アジア選手権を連覇した朝鮮女子サッカーチーム |
【平壌発=文聖姫、姜鐘錫記者】タイで開かれた第14回アジア女子サッカー選手権大会(6月8〜21日)でみごと優勝した朝鮮女子サッカーチーム。アジア選手権は前回に続き連覇である。また9月、米国で開催される世界選手権大会(W杯)の出場権も獲得した。朝鮮に戻ってきた選手たちは現在、W杯に向け練習に励んでいる。チームの「強さの秘訣」を探ってみた。 スポーツは勝つことがすべて
練習の合間、街を歩いている選手たちをよく見かける。20代前半の普通の女性たちだ。しかし一度練習が始まると、顔つきは完全に変わる。 キャプテンのユン・インシル選手(28、鴨緑江体育団)は言う。「スポーツは勝つことがすべて」。ミッドフィルダーのリ・グムスク選手(25、4.25体育団)も南との対戦を振り返って「同じ民族でも競技場の中では試合に勝つことだけに集中していた」と語る。 試合に出たら無条件勝たなければならないというのが、彼女たちの一致した考えだ。 チームを指導するスポーツ科学研究所サッカー室長のパク・クァンソさんは、「強靭な意志と執念、これがわがチームの強さの要因だ。それを支えているのが、ハードな練習」。 パクさんは、決勝トーナメントで日本、中国を破った要因を、体力的に上まわったからだと分析していた。 2000年から大幅な入れ替え
朝鮮で女子サッカーが本格的にスタートしたのは86年から。第1世代は99年までで、2000年から大幅に選手が入れ替わった。第1世代の選手らは、他のスポーツをしていて選抜された者がほとんどを占めていた。しかし現在の選手らは、クラブチームで基礎訓練を消化した選手たちである。実際、今大会で15のゴールを決め、得点王と最優秀選手に輝いたリ・グムスク選手は13歳のときにサッカーを始めた。 「第2世代の選手は第1世代に比べ、あらゆる面で抜きん出ている」と、パク室長も指摘する。 現在の選手選抜システムは、クラブチームを経て各体育団に入団した選手たちの中から優秀な者を選びナショナルチームを構成している。 「サッカーはオーケストラと同じ。各体育団の国内競技を通じて、責任監督が選抜している」(パク室長) 対日本戦「痛快に完勝できた」 得点王のリ選手は、日本戦で2得点、中国戦で2得点を挙げた。 「ゴールキーパー、ディフェンダーなど11人の全選手が私にいいボールを回してくれたから得点できた」と謙虚。他のプレーヤーも、サッカーは個人競技でなく団体競技だと強調する。パク室長のいう「オーケストラ」とは、まさにこのことを言う。 「選手それぞれが、息づかいだけを聞いても互いの状態を知ることができる」(チェ・グァンソク監督)という団結力が、もうひとつの強さの要因と言えるだろう。 選手たちは、中国との決勝戦でも負ける気がしなかったと語る。 「中国選手らは朝鮮選手よりも歳をとっていたし、スタミナも劣っていると思った」。世界トップレベルの技量を備えるチン・ビョルヒ選手(23、月尾島体育団)はこう分析していた。2000年に世代交代した朝鮮チームの平均年齢は24.5歳。中国より2〜3歳若い。 昨年秋、釜山アジア競技大会で1対0と苦戦した日本戦も3対0で、「今回は痛快に完勝できた」(チン選手)。 大会優勝の瞬間は本当にうれしかったという選手たち。現在は9月のW杯に向けて、気持を引き締め、練習に励む毎日だ。 [朝鮮新報 2003.7.11] |