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大邱ユニバーシアード〉 「統一」実感させる市民の歓迎

 【大邱発=李松鶴、姜鐘錫記者】大邱ユニバーシアードに参加している北の選手団と応援団。市民たちは、初めて接する同族を熱烈かつ温かく迎え入れ歓迎一色のムードである。会場やプレスルームで繰り広げられる同じ血、同じ言葉を話す同族同士の交流は、まさに「統一」を肌で実感させている。

いたる所で拍手

 一部保守勢力の反北騒動や応援団に対する嫌がらせに、北側代表団は大会参加の中止を示唆した。しかし、南側が再発防止、謝罪を表明。これを受けてチョン・グクマン北側代表団総団長が8月27日、記者会見を開いてユニバーシアードへの参加継続を発表した瞬間、会見場の記者とボランティアたちの間から歓声と拍手が湧き起こった。

 記者会見が始まる前、会見場では北と南の記者たちが互いに自己紹介しながら談笑する姿が見うけられた。南側記者が持っているビデオカメラの操作の仕方や性能について北側記者が質問、それに南側記者が丁寧に答えるなど、実に和気あいあいとした光景である。「北の記者の手助けをしたから、そのうち平壌に招待されるぞ」などと冗談を飛ばす南の記者もいた。

北の女子サッカーチームを応援する南のサポーター(対フランス戦)

 一歩、市内に出ると、至るところで北の選手と応援団を歓迎する横断幕や看板を目にする。北の選手が出場、応援団が姿を見せる会場では必ず統一旗がたなびき、すでに統一したような錯覚を覚えるくらいだ。

 柔道会場で警備に当たっていた女性警察官は、「応援団はここにも来るんでしょうか?」と期待を込めた表情で記者に尋ねてきた。

 また、応援団が会場に姿を現したというニュースが流れると、市民たちは彼女たちを一目見ようと、宿舎の大邱銀行研修院までの道脇で統一旗や横断幕、カメラを片手に、彼女たちが乗ったバスが現れるのを、首を長くして待っている。

 しかし、パトカーと白バイに先導されたバスはあっという間に過ぎ去ってしまう。それでも市民たちは「また会おう!」「頑張れー!」と、エールを送りながら手を振り、彼女たちとの「瞬間の出会い」を噛みしめていた。

 一方、プレスセンターとなっているEXCOモールの若いボランティアたちも、北の記者を見かけると手を振ったり、「お会いできて嬉しいです(パンガッスムニダ)」と気軽にあいさつする。大会期間中、北の記者を案内する南の関係者たちは、プレスセンター内に備えられたテレビで北南選手の試合を一緒に観戦しながら、選手たちの活躍に「一喜一憂」。「北も南も同じ民族」だということを肌で実感できる毎日だ。

事実伝えぬ日本

 8月27日、プレスセンターで行われたジャック・ロゲIOC総長の記者会見の模様を、ある日本の記者は、「現在、南北が北京オリンピックに合同チームで参加することが主に話されています。会場には北朝鮮の記者も多数おり、関心の高さをうかがわせています」と伝えた。

 北南が統一チームで参加しようと話し合っているのはアテネオリンピックであり、北京オリンピックはその次の大会だ。

 通訳が付いているのを見ると、朝鮮語は当然知らないのだろう。しかし、次回のオリンピックがアテネなのか北京なのかは、記者としては当然、知っておかなければならない常識である。要するに、北南朝鮮に関する基礎的な知識すらないのだろう。

 こうした誤報を毎日のように垂れ流しては、訂正もしない。市民たちの歓迎一色の事実も伝えない。さも、北南関係が冷え冷えしているかのように伝える日本のマスコミの「徹底ぶり」に、地元のマスコミ関係者たちもほとほとあきれ返っていた。

[朝鮮新報 2003.8.30]