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朝鮮柔道協会パク・ハクヨン書記長に聞く−世界柔道大阪大会を振り返って

 先月の11〜14日に行われた03世界柔道選手権大阪大会に出場した朝鮮チームは、女子57キロ級でケ・スンヒが優勝し前人未到の世界大会3階級制覇を成し遂げるなどの優秀な成績を収めた。大会の総評、今後の展望などについて、朝鮮柔道協会のパク・ハクヨン書記長(会長)に聞いた。(千貴裕記者)

経験の差浮きぼりに

 ―大会で朝鮮チームは男子1、女子2つのクラスでアテネ五輪出場権を獲得したが、今回の結果をどう見るか

 今大会の目標はケ・スンヒの金、その他の選手たちは五輪出場権を獲得すること(7位入賞)だった。そして、男女で金のほか銅メダルを1つずつ取ることだった。女子52キロ級のリ・サンシム、男子60キロ級のパク・ナムチョルの2人がともに3位決定戦で敗れ、5位入賞となったが、国際大会の経験の差が出たと思う。総合的に見ると、満足できる結果は出せなかったがそれなりに収穫はあった。1本勝ちの率が飛躍的に伸びたことだ。実際、勝ち試合全17試合中16試合が1本勝ちだった。これは近年、技の正確さ、精度を追求してきた結果だと受け止めている。

 ―女子に対する評価は

 ケ・スンヒ以外の2人は国際競技の経験がほとんどなかった。とくに、リ・サンシムは国際大会初参加。準決勝に進出しながら、同試合と3位決定戦の2試合とも敗れ悔し涙をのんだが、敗因が経験の差にあることは明らかだ。70キロ級に出場したキム・リョンミは、体力と瞬発力の面が今後の課題だ。

 しかし、両選手とも技にキレが出ていたのは収穫といえる。ケを含む彼女らの得意技が、充分世界で通じることを証明できた大会だった。

 ―男子はどうか

 ほかの選手が力を発揮できず敗れた中で、大会最終日に出場したパク・ナムチョルが孤軍奮闘した。彼には銅メダルを期待したが、やはり経験の差が出たと思う。全体的にスタミナの面での強化が必要だ。国際大会の経験を積ませるとともに、技術と戦術面の強化を図る必要がある。

厚くしたい選手層

 ―ケ・スンヒの強さの秘訣は

 ケは元来、強い精神力のみならず、ずば抜けた能力と腕力の持ち主だ。昨年の釜山アジア大会で3位に甘んじたことが相当彼女のプライドを傷つけた。ゆえに釜山アジア大会以降の練習量は今までの比ではなかった。今回は階級を1つ上げての出場となったが、57キロ級は02年の平壌国際招待競技で経験している。もちろん女子の監督や本人と相談したうえで勝算のある57キロ級に出場させた。ケは今大会、すべての試合で1本勝ちしたが、2年前のミュンヘン大会に比べると、内また、背負い投げなどの技のキレが一段とよくなった。

 ―朝鮮の柔道事情について

 わが国ではオリンピック種目である柔道に、つねに大きな関心を寄せてきた。柔道人口は約3000人。全国に少年クラブのほか、35のジュニアクラブ、20を超える一般クラブがあり、盛んに競技が行われている。ジュニアの部では年2回クラブ対抗戦があり、一般の部では毎年7〜8月頃に行われる平壌国際招待大会など年間を通じ5〜7つの大会がある。

 ―朝鮮の柔道スタイルについて

 選手たちは欧州の選手に比べ、どうしても身体的能力で劣る。それを補うため精神、闘志、スピード、技術の4つを徹底的に鍛えている。柔道は個人競技なので、己に勝つ精神力を養うことが重要だ。どのスタイルにも対応できる選手育成を目指している。

 ―今後の展望について

 現在、ケ・スンヒを筆頭に24、5歳の選手が代表として活躍している。若手の代表格としては、釜山アジア大会と大邱ユニバーシアードを制した19歳のホン・オクソンがいるが、さらに選手層を厚くしていきたい。

 朝鮮人の体格上、どうしても軽量級に力を注がなければならない。

 今大会は来年の五輪をにらんだいい経験の場となった。女子はある程度の勝算をもてるようになったし、男子は希望を見出せることができた。来年の五輪での目標は、ずばり金メダル2つだ。(9月14日にインタビュー)

[朝鮮新報 2003.10.23]