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〈コリアンサッカーダイジェスト〉 在日本朝鮮人サッカー協会の方針、今後の展望について金清会長に聞く

 今月から月1回、「在日本朝鮮人サッカー協会のページ」を掲載します。第1回目の今回は、金清会長に協会の基本方針や事業、そして今後の展望について聞いた。

すべての世代が楽しむ環境作り

 ―協会の基本方針は。

 まず協会として当然のことながら、在日コリアンサッカーの水準向上とサッカーの普及促進が挙げられる。これはどこのサッカー協会でも同じ。代表を頂点とした、強化システムをよりいっそう整備していかなくてはならない。

 次に、これが当協会の特色でもあるが、サッカーを通じて在日コリアンのアイデンティティー確立に寄与することだ。サッカーは、コミュニティーを形成するうえでシンボルと成り得るからだ。

 多民族国家スペインでは、サッカークラブが少数民族のアイデンティティーを確立するうえで大きな貢献をしている。10万人以上のソシオ(会員)を抱えるカタルーニャ地方のクラブ、FCバルセロナはその典型で、試合会場には「カタルーニャはスペインではない」という横断幕が掲げられているほどだ。わが協会も、サッカーを媒体として在日コリアンとしての誇りを持つうえでの手助けをしたいと思っている。

 最後は、国際交流及び親善だ。どのスポーツにも言えることだが、お互いに戦った者同士は自然と情がわくものだ。今、在日コリアンを取り巻く情勢は厳しいが、にもかかわらず朝鮮中高生は公式戦や親善試合で日本の学校と対戦している、これは長い目でみれば必ず朝・日友好につながる。相互理解を深めるうえで、スポーツをうまく活用すべきだと思う。

 ―現在、協会が実施している事業は。

 主な事業としては、まず各年代別の選手権大会があげられる。

 学校レベルでは、小学校で「コマチュック」、中学、高校で選手権大会を毎年実施している。社会人レベルでは、一般社会人大会とは別に30、40代の大会を実施している。

 30代の大会は、KYC(在日本朝鮮青年商工会)との共催で今年初めて開催したが、非常にうまくいった。今後も「ゆりかごから墓場まで」サッカーを楽しめる環境作りを進めていきたいと思う。

 次に選手、コーチの育成だ。

 今年の朝鮮高校選手権は、初めての試みとして12校を4つのブロックに分け、各ブロック代表を1カ所に集め試合をする形式に変更した。各ブロックの優秀な選手を選抜し競わせることで、非常に充実した3日間となった。試合終了後にはレベルアップのための講習会も実施した。

 また、良い選手を育成するには良い指導者を育成することが重要だ。そこで当協会では現在、指導者ライセンスの取得を奨励している。これまで、平壌で行われる国際サッカー連盟(FIFA)主催のコーチング研修と、アジアサッカー連盟(AFC)主催のコーチングライセンス取得講習へ積極的に指導者を派遣してきた。日本では今年、日本サッカー協会(JFA)主催のC級ライセンス取得講習へ大阪朝高のコーチを協会推薦で派遣した。

U−15、U−18在日選抜の結成

 ―今後の在日コリアンサッカー界の展望について。

 JFAは、15年前に「プロリーグの創設」を、10年前には、日本でのW杯開催を目標として掲げた。当初は、どちらも誰にも相手にされなかった。しかし、92年に10チームで始まったJリーグは、今や(J1、J2を合わせて)28チームにふくれ上がり、誰もが実現不可能と思っていたW杯も成功させた。

 われわれも協会としての「夢」を持ち、それを同胞たち、とくに今サッカーをしている子供たちに提供していくべきだと思う。

 現在、日本のサッカー人気は頂点に達しており、競技人口はますます増えている。サッカーは「成長市場」であり、協会にとって今が絶好のチャンスでもある。

 協会では来年度、15、18歳以下をはじめとする各年代の在日コリアン選抜チームによる強化試合を計画している。その中に優秀な選手がいれば朝鮮代表として積極的に推薦していきたい。来年、日本では17歳以下アジア選手権が開催されるので、すでに予選を突破し出場権を獲得している朝鮮代表チームへ、優秀な在日の選手を2〜3人派遣したいと思っている。また、2次予選の結果次第だが、来年3月以降に予定されているオリンピック最終予選にも、Jリーグで活躍している選手をはじめ朝鮮大学校などの優秀な選手を積極的に推薦していきたい。

 この他にも、来年度にむけてサッカーを通じて同胞たちに「夢」を与えられるようなプロジェクトを現在企画中だ。今後とも、さらなるご支援をお願いしたい。

[朝鮮新報 2003.10.30]