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〈第9回在日同胞大登山の集い〉 各地同胞が共に汗流す

 「第9回在日同胞大登山の集い」(主催=在日本朝鮮人登山協会、10月26〜27日)。群馬、茨城、埼玉、西東京、神奈川などの関東地方をはじめ、山形、長野、山梨、そして静岡、愛知、岐阜、兵庫から同胞登山愛好家が参加。南の大韓山岳聯盟から招いた2人を加え、総勢107人でにぎわった。コースは日本百名山のひとつ、山梨県の大菩薩峠・嶺と西沢渓谷。深まる秋を思い思いに楽しんだ。

秋の色、いろ、イロ…

 午前8時30分。新宿の安田生命ビル前に関東各地から続々と同胞が集まってくる。ほとんどが60〜70代。重たそうなリュックに登山靴、それでも担ぐ肩と歩む足取りは軽やかだ。懸念された雨も杞憂に終わり、見事な秋の空が広がる。

大菩薩峠の頂上で

 3台のバスに分乗して出発した。どの顔もこの先の楽しみを心待ちにしている表情だ。目的地に近づくにつれ、次第にバスの中は歓声とため息に包まれた。富士が大きくその裾を広げている。どこを見渡しても目に飛び込んでくるのは秋の色、いろ、イロ…。

 大菩薩峠・嶺の登山口で地方からの参加者と合流した。「単に景色を楽しむだけの登山会ではない。各地から同胞が集い共に汗を流すことに今日的な意義がある」と登山協会の金英会長(78)は話す。

 全員がそろったところでいざ、出発。陽射しがほどよく暖かい。落ち葉の敷き詰められた登山道を歩くのは気持ちがいい。談笑を交えながら一歩一歩、秋を踏みしめて登っていく。

 正午。大菩薩峠(1897m)に着いた。瞬間、同胞たちの疲れた表情に明るさが戻る。眼下に広がる、見渡す限りの艶やかな樹林帯。空は高く澄み渡り、陽が高く昇っても周囲の景色は少しも霞んだりしない。右手にそびえる大菩薩嶺(2057m)が小さな人間を見下ろしている。

 悲喜の交差する体とは裏腹に心はすっかり秋の佳景に恋模様。絶勝の偉観とほのかに漂う哀愁に思わず詩情がたぎる。夢見心地のまま初日の登山は終了した。

南からも参加者

 2日目は西沢渓谷をハイキング。前日の疲れなどどこ吹く風、同胞たちは軽快なステップでずしずし歩を進めてゆく。水面に映える木漏れ陽がキラキラとまぶしい。滝の音がこだましている。せせらぎが長閑に流れ、涼風が肌に優しくあたる。秋葉の散る刹那、胸に去来する旅愁の想い…。

西沢渓谷をハイキング

 やがて終着点についた。まずは深呼吸。山を腹の底まで吸い込む。あちこちから同胞たちの「ヤッッホーーー!!」の連呼…。しばし時を忘れて山に身をまかせたくなる。

 下りは昼下がる中腹を眺めながらのゆったりぶらり。鮮紅、浅紅、暗紅、真紅、深紅、唐紅、茜色、狐色、柿色、渋色、栗色、雀色、飴色、橙色、山吹色、黄金色…。色だけでも何種類あるだろうか。

 今回、ゲストとして南の大韓山岳聯盟から2人が参加した。

 「登山を通じて心がひとつになれた気がする。異国の地で民族性を守っている姿に感動した」(ソン・ジュンホさん、52)、「すばらしい交流だった。在日1世たちが築いたこの土台をわれらがしっかり継いでいかねばならない」(キム・ジェボンさん、47)と感想を述べていた。

 「今後も地道に活動を続けていく。海外在住の同胞たちにも交流の輪を広めていきたい」(金英会長)

 来年は節目の10回目。場所は箱根を予定している。登山協会ではより多くの参加を募っている。(韓昌健記者)

[朝鮮新報 2003.11.8]