〈第83回全国高校ラグビー選手権大阪府第1地区決勝〉 朝高初、決勝4回目で悲願達成した大阪朝高ラグビー部 |
決勝戦で夢を阻まれること3度、ついに大阪朝高ラグビー部が悲願を達成した。手に汗握る攻防戦が繰り広げられる中、終盤に劇的なドラマが待ち構えていた。 12−13、1点リードされて迎えた試合終了1分前、朝高は相手の反則からPGのチャンスを得た。決めれば勝利、失敗は敗北を意味した。 ゴール正面約30m。グラウンドの選手、応援席の同胞たちの全視線はキッカーの金圭補選手に注がれた。そのプレッシャーをはねのけ左足で蹴ったボールは、指導陣、選手、OB、同胞らすべての人々の念願と夢を乗せゴールポストのクロスバーの上を通過した。そしてノーサイドのホイッスル。劇的な勝利に、選手らは両手を上げ歓喜し涙を流し、応援席の同胞たち約2800人も抱き合い、そして涙した。会場は一瞬にして興奮のるつぼと化した。 94年に全国大会への門戸が開かれて以来、同校ラグビー部が府大会の決勝に駒を進めたのは過去3回。いずれも強豪校の前に涙を飲んだ。
決勝の相手は2年連続で全国大会出場を目指す近大附属高。10人が昨年の全国大会経験者で府下No.1の大型フォワードとバックスをそろえたチーム。今年春の近畿大会3位、全国選抜ベスト8の実力校だ。 対して大阪朝高は、今年の新人戦優勝、大阪総体で準優勝。フォワード、バックス一体型のチームで悲願達成への意欲を燃やしてきた。 前半に先制トライ、後半にトライとゴールを決め12−0とリードした朝高だが、その後2トライ1PGを決められ、逆転された。 残り4分。ここから朝高の真価が発揮された。「最後まで全力を尽くして絶対勝とうと気持ちを一つにした」(趙顕徳主将)。この気持ちが最後のPGの成功につながった。 金信男監督は、「先取点が大きかった。在日同胞代表、大阪第1地区の代表として堂々と全国大会に臨む」と胸を張った。(文=千貴裕、写真=文光善記者) [朝鮮新報 2003.11.18] |