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〈がんばれ朝高!〉 全国選手権出場の京都朝高サッカー部(中)

「もう『幻』でない」

 「念願の全国大会出場」−これは選手たちだけでなく、OBはじめ同胞、学父母らの長年の夢でもあった。その夢を実現させようと、OB会、父母会なども選手たちと同じ意気込みで歩んできた。「彼らのバックアップなしに、今回の快挙は語れない」と李宗一校長は言う。

 OB会が結成されたのは5年前。40代前半まで、約300人を網羅する。遠征、合宿、財政的問題をバックアップするとともに、監督、コーチらが活動しやすいよう多方面で支援している。2年前からは京都市内の第1、第2、第3の各初級学校生徒を対象にしたサッカー教室を週2回、ボランティアで運営。将来の有望選手を育成するためだ。昨年、第1初級が中央サッカー大会で優勝するなど、成果も出始めている。

 副会長の鄭鐘学さん(38)は19年前の卒業生で、サッカー部で活躍したメンバーの1人だ。日本の公式試合に出場できなかった当時、京都新聞に「幻のサッカー部」として紹介された。

 2年前までの6年間、年3回の遠征(鹿島、広島、長野・菅平)時のバス運転手もかってでた。仕事を休んでのことだ。これは鄭さんを取り巻く親友らの心遣いあってのことでもある。

 全国大会出場を自分のことのように喜ぶ鄭さんは、「後輩たちがわれわれの夢を現実のものにしてくれたので、もう『幻』ではない。でも今回の優勝はあくまで京都ナンバー1。次は全国でわが京都朝高サッカー部の名をとどろかせてほしい」と期待を込める。

 会長を務める黄明浩さん(38)も、選手たちとともに「同じ夢」を追いかけてきただけに、「選手たちと同じ気持ちで観戦、いや参戦した」と振り返る。

 黄さんは、母校サッカー部を愛するOBたちの気持ちを1つにまとめ、惜しみない協力で、サッカー部の発展に尽くしてきた。

 「決勝戦は本当に足が震える素晴らしい試合だった。これまでの苦労は苦労ではなかった。われわれも全国大会を目指し準備を進めていきたい」と述べながら、今日もバックアップのために奔走している。

同胞社会に活力を

 一方、父母会は発足して約10年が経過した。遠征、合宿、財政的問題を支援するほか、選手らの健康管理、体の成長のために、練習後に欠かさず牛乳とバナナを差し入れている。財政問題と関連しては今年から広告事業を開始。父母自ら学父母や同胞宅、さらには日本の企業などを回って広告を集め、選手紹介を含めたパンフレットを作成した。

 会長の鄭相竜さん(55)は、「強くなることが学校の発展にもつながる。今回の快挙は民族教育の誇りだ」と強調する。

 また、同サッカー部OBで、現在、京都府体育協会会長を務める李鐘大さん(56)は、全国大会出場の喜びをこう語る。

 「選手、関係者らが一体となって勝ちとった栄誉だ。暗い話が多い中で同胞らに力と勇気を与えてくれた。選手たちがサッカーを通じて民族教育をアピールし、同胞社会に活力を与えた意義は計り知れない」

 このほかにも移動バス購入やグラウンドのナイター設備設置など、サッカー部後援会もサッカー部強化に務めている。(本紙取材班)

[朝鮮新報 2003.11.29]