〈がんばれ朝高!〉 全国選手権出場の京都朝高サッカー部(下) |
全校が心ひとつに サッカーとともに選手たちは、学校生活においても、精神的にも大きな成長を遂げたという。 京都朝高は今年、創立50周年を迎えた。3年生は1年の時から、創立50周年をサッカーを通じて輝かせようと考えていた。 10月5日から始まった今回の選手権予選。練習、試合が続く一方で、学校創立記念芸術公演(11月13日)の準備も進められていた。「試合に勝って創立を祝おう」「公演を成功させることも重要」−サッカーと公演を両天びんにかけることは、選手たちにとって非常に厳しい選択だった。 マンモス学校でもなく、全校生徒そろってこそ、公演は成功する。サッカー部メンバーも、男性重奏や農楽舞などで力を発揮しなければならない。だが、ままならぬ公演練習。皮肉にも予選を勝ち抜いていくにつれ、公演の日も近づいていった。 「ほかはダメでも、合唱だけはりっぱにやり遂げよう」。そう意見をまとめた選手たちは練習後、自分たちだけで夜遅くまで歌の練習を行ったという。 とはいうものの、サッカー部メンバーと他の生徒との間には自然と目に見えない「壁」が生じていた。 ある日、金宏鎮キャプテンは全校生徒の前でこう語った。 「みんなが学校創立50周年を輝かせようと公演の練習に励んでいる中で、サッカー部だけが練習に出ず、迷惑をかけていると思う。しかし、われわれは必ず勝ち、学校創立を優勝≠ニいう2文字で輝かせ、50年の歴史に輝かしいページを残すつもりだ」 力強く語るキャプテンの言葉を、生徒たちは力強い拍手と歓声で受入れた。 決勝当日、選手のユニホームと同じ赤の帽子とタオル、メガホンで応援スタンドに姿を見せた生徒たち。 「가라 가라 조고(行け行け、朝高)」「방어 집중(防御 集中)」−応援席の生徒たちの声は、確実に選手たちの耳にも入った。それが選手たちの冷静なプレー、団結力を導いたといえよう。 李宗一校長は「優勝は、応援席とグラウンド、全校生徒の心が1つになって勝ち取った喜び。キャプテンが約束したとおり、選手たちは学校創立50周年をサッカーを通じて輝かせてくれた。歴史の新たな1ページを刻んだ」と強調する。 授業に高い意欲 京都中高では11月13日の学校創立記念芸術公演に続いて、30日には公開授業が行われた。 「朝鮮学校はどんな学校」「民族教育とは何か」「どんな授業をしているのか」「どんな学校から京都代表を生んだのか」−学校を訪れた日本の教育関係者たちは胸の中でこう思っていた。 「生徒が活発に発言しており、生徒の授業に対する意欲の高さがうかがえる」(高校教師)、「教室や生徒のみなさんを観て伝わるものがあった」(20代女性)と民族教育の素晴らしさについて指摘する。 「朝高が力を出せば、京都が生きる」(李校長) サッカー部選手たちがまずその突破口を開いた。わずか28人の選手たちが、さらに新しい歴史の1ページを開くことに期待したい。(本紙取材班) [朝鮮新報 2003.12.2] |