〈がんばれ朝高!〉 全国選手権出場の大阪朝高ラグビー部(上) |
指折りの激戦地区 全国挑戦4回目にして悲願を達成した大阪朝高ラグビー部。72年の創部以来31年目の快挙だ。94年、朝鮮学校に「花園」への門戸が開かれてから数えると実に10年の月日を費やしての初出場となった。 過去3回の決勝の舞台では、強豪校の厚い壁を崩せなかった。 高校ラグビー界においても大阪府代表の持つ意味は重い。大阪府は全国でも指折りの最激戦地区として名高いからだ。近年の高校ラグビー界は西高東低の傾向が強く、過去5年間の全国大会ではすべて近畿地方の代表が優勝した。うち大阪府代表は4回優勝している。先月25日に発表された、今年の大会Aシード校(1年間を通じ優秀な成績を収めている学校に与えられる)の3校中2校を大阪府代表(啓光学園と東海大仰星校)が占めた。府からは3校が全国大会出場切符を手にできるが、獲得するのは至難の業。「全国大会で1勝、いや、ベスト8入りするより大阪府代表の座を勝ち取る方が難しい」とは、関係者がよく口にする言葉だ。だからこそ同校ラグビー部の金信男監督をはじめコーチ、選手、関係者らは、大阪代表として全国大会に出場することに特別な思いを込め、闘志を燃やしてきた。 全員が高校から 昨年の府選手権大会の決勝で涙を飲んだ同校ラグビー部は、次の日から新チームとしてスタートした。部員数は24人。公式試合登録メンバーに満たない数だ。ましてやサッカーやバスケットボール、バレーボールなどウリハッキョ初級部、中級部にクラブがあり、一貫性を持った指導がされている競技とは異なり、ラグビー部は決して恵まれた環境に置かれているとは言えない。今でこそ東大阪朝中にラグビー部が創設され、第1期卒業生が新学年度から朝高に入学するが、今年のメンバーは全員朝高入学後初めて楕円形のラグビーボールに触れた選手たちである。 全国大会出場を決める予選大会は9月末から始まる。「花園」の切符を手にするため、3年生は2年半、1年生に至ってはわずか半年足らずで結果をだすことを強いられてきた。 そして激戦区の大阪を勝ち上がるため、限られた練習時間の中で、未知のスポーツのルールや、ボールの扱い方(ハンドリング)、タックルの仕方など基礎を覚え、徹底的に体に叩き込んできた。 大阪朝高で19年間監督を務める金信男監督は、これまで培ってきた同校ラグビー部の精神を「無から有を作り出す精神」と表現する。 指導陣は毎日、選手たちと強固なスクラムを組み、前へ前へと一歩一歩着実に進んできた。「絶対に断念しない。前を向く姿勢」を貫き通してきたのだ。 そして今年、24人の部員たちは一丸となり新人戦で優勝、周囲に「ひょっとすると」、との「予感」を感じさせた。(本紙取材班) [朝鮮新報 2003.12.4] |