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〈がんばれ朝高!〉 全国選手権出場の大阪朝高ラグビー部(中)

敗戦から得た「財産」

 大阪朝高ラグビー部にとって、今年転機となった試合をあげるとすれば、おそらく春の大阪府総体決勝戦であろう。相手は関西創価。新人戦では53−3で圧勝した朝高だが、決勝では19−21と苦汁をなめた。いつになく同校の攻めのラグビーが機能しなかった。

 無理もなかった。この試合に勝てば、秋の本番でAシード権を獲得し、全国大会がぐんと近づくことを選手たちは意識していたからだ。

 「もともとチャレンジャーであり続けなければならない朝高が、勝つために守りに入ってしまった試合」と金信男監督は冷静に分析する。

 しかし、敗戦から得た「財産」は全国大会予選に生かされた。決勝戦で朝高は、試合終了間際のPGを決め逆転で優勝を飾った。実は春の総体決勝戦でも同じような場面があった。この時は敵陣のゴールに近い地点でアドバンテージをとったが、プレイを切らずにそのまま攻め続け、敗れた。

 同じ轍は2度踏まない。そのためにどのような練習をするのか。秋の本番に向けてのテーマだったに違いない。

 そのことを裏付けるように金信男監督は「残り時間が少ない中で、どういう選択肢があるのか。練習では常に、あらゆる状況に応じてシミュレーションした。決勝戦での最後のあの場面も、日々の練習メニューの中でシミュレーションをした通り」と言った。

 劇的な勝利の裏には、選手個々の能力を充分把握し、あらゆる場面を想定した練習を積み重ねてきた指導陣の「ファインプレイ」が隠されていた。

FW、バックス一体型

 菅平で行われた2回に及ぶ夏合宿と秋の九州遠征。選手たちは精神的にも、体力、技術的にも一回りも二回りも大きくなった。

 全国大会予選に向けて金監督は、「自信、誠意、勝利」をキャッチフレーズに掲げた。自信を持ってプレイし、ラグビー部OB会や父母会など同胞らの声援に応え勝利し、全国大会に出場するという意味だ。予選が佳境に入るとこれが、「勝利、勝利、勝利」に変わった。勝利こそが同校ラグビー部にまつわるすべてを解消してくれる唯一の道だった。

 チームは近年、フォワード中心型だったものをフォワード、バックス一体型に改め、どの展開からも得点できるラグビーを目指した。

 チームの要となった趙顕徳主将。今年の高校生オールジャパンに選ばれ、オーストラリア遠征に参加し、大型選手に対応する技術を身につけてきた。「1年間ぼくらが目指してきたラグビーは、高校のリーダー的役割を担うこと。最後まで諦めない気持ちでやってきた。そのみんなの気持ちが最後のPGに込められた」と語った。

 今年の3年生は11人。近年では最も少ない。そんな中、3年生は下級生とのコミュニケーションを大切にし、常に同じ目標を持って戦った。まさに「One for all、all for One」のラグビー精神で勝ち取った勝利だった。(本紙取材班)

[朝鮮新報 2003.12.6]