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〈がんばれ朝高!〉 全国選手権出場の大阪朝高ラグビー部(下)

晴れの舞台夢見て

 大阪朝鮮高級学校から「花園」までは距離にして2キロとない。走れば5分で行ける。しかし、その「花園」を意識することも、その場所に立つ夢さえ持つことも許されなかった人たちがいる。創部31年の歴史を誇る同校ラグビー部で、94年までのまる22年間、汗を流してきたOBたちだ。

 OB会が結成されたのは15年前。「いつの日か生徒たちが晴れ舞台に立つこと」を信じ、遠征、合宿費用や防具などの器材を賄うなど、朝高を物心両面で支え続けてきた。

 結成以来会長職を務めてきた南秀明氏(47)は、10年前、朝高の選手たちもがんばれば全国大会に出られるんやと思うだけで胸が熱くなった。1つの夢がかなった今、「OBたちも興奮している。選手たちと同じ気持ちで花園に行く」。

 関西社会人クラブリーグ1部に所属する千里馬ラグビー団の呉成一部長(42)も影の功労者だ。同校の金信男監督とは高級部時代、共にラグビーで汗を流した親友だ。ラグビー部の遠征にも同行して、選手らを教えてきた。「春の時点でまだまだ伸びると確信していた。実力があったからこそ勝ち取った栄誉。だからといって、大阪のNo.1になったわけではない。これからが本当の勝負」と激励の言葉を口にした。

監督、選手を信じて

 一方、7年前に結成された父母会もラグビー部を影で支えてきた。

 新人戦を控えた今年1月15日、ラグビー部の引継ぎが朝高で行われた。この日は父母会役員の引継ぎの日でもあった。

 李世栄副会長(51)は、「今年はどんなことがあっても全員で花園に行こう。みんなで正月を花園で過ごそうと気勢をあげた」と振り返る。

 「来年は東大阪朝中のラグビー部1期生が入ってくる。今年の子どもたちは、金監督が朝高からラグビーを教えた最後のメンバーだ。監督をどうにか男にしたいという思いでやってきた」(李副会長)という。

 父母会では食生活など選手の健康管理、栄養剤などを差し入れし、1年間選手と一丸となってやってきた。

 金成大会長(47)にとって忘れられないことがある。7月の和歌山遠征に父母会も同行した時のことだ。全国大会常連校の熊野校に勝利した後に行われた食事会で、主将の趙顕徳君が「今年は絶対に全国に行く」と力強く言い切った。

 金会長は武者震いがした。「父母会の決起大会になった」と振り返る。「金監督と呉栄吉コーチ、選手らを信じてついてきた。この気持ちに変わりはない」。

 朝高の1回戦相手は砺木校(富山)に決まった。勝てば2回戦で優勝候補筆頭の正智深谷校(Aシード、全国選抜優勝校、埼玉)とぶつかる。万感の思いを胸に花園の舞台に立つ選手たち。28日から新たな歴史を刻む戦いが始まる。(おわり、この連載は千貴裕、羅基哲記者が担当しました)

[朝鮮新報 2003.12.9]