〈手記−体連50年史-7-〉 例みない大マスゲーム |
この時期、在日同胞の体育、スポーツ活動において、いくつかの特筆すべき出来事が次々と起こった。とりわけ、総連結成10周年を記念し、東京で披露された大マスゲームは、それまでに例をみないすばらしいイベントであった。 8千余人の生徒が参加
東京をはじめ、関東地方の民族学校と朝鮮大学校の学生たち8000余人が出演した大マスゲーム「祖国にささげる歌」は、1965年5月28日、駒沢競技場で行われた。 スタンドにつづけて描かれる華麗な絵文字、流れゆく音楽にあわせ、チマ・チョゴリを着たかわいい生徒たちが繰り広げる色とりどりのリズミカルなマスゲーム。 観客たちは興奮のるつぼに巻きこまれ、何万もの目が一大絵巻に釘づけになった。同胞たちは喜び、その表情は感動の涙であふれた。 異国の地にいながら、これほどの驚嘆すべき一大イベントを立派にやってのける民族教育、そこでわれわれの子弟が学び育っている幸福感を熱く感じた。綿密な準備と出演者たちの汗の努力があったとはいえ、決定からわずか2カ月で創作公演されたと聞き、私はいま一度、驚いた。 いったん公演がはじまると、一糸乱れぬ動きが要求される出演者たち。スタンドの絵文字を担当する初級学校の生徒たちは長時間の緊張にもかかわらず、トイレもがまんして見事にやりとげた。 つづいて同年10月にも、共和国創建17周年を慶祝する大マスゲーム「栄えあるわが祖国」が、その後、金日成主席の生誕60周年を慶祝する大マスゲームが72年5月にふたたび駒沢競技場で演じられた。 日本では誰も見たことがない、これら大マスゲームを観覧した内外の観客たちは、どうして小学生までもがあれほどリズミカルな動きで、すばらしい美を作り出せるのだろうかと感嘆した。 専門家たちも、「その規模と内容において最高峰」「驚くほどの思想芸術水準」と絶賛した。 初の「功勲体育人」授与 共和国の大マスゲームは、スタンドの絵文字とグラウンドのリズム体操が流れる音楽によって統一的に導かれる総合芸術的なマスゲームで、リズム体操を主としたチェコスロバキアやソビエト(いずれも当時)のそれとは、規模だけでなく華やかさ、テーマの多様さにおいて比類のないものだった。 共和国で創造された大マスゲームが、在日同胞によって日本でも立派に再現された。 この大マスゲームの成功のためには、多くの在日体育人も参加した。その活動が高く評価され、朝鮮大学校の金世炯教授に共和国「功勲体育人」の称号が祖国から授与された。この栄誉は在日朝鮮体育人としてはじめてのことであった。 こうしたマスゲームの創作や経験は、今も各学校の運動会や地域で行われる小規模のマスゲームで立派に生かされている。 いま思うに、スポーツ組織が全国的に整い、学校体育が充実しスポーツの大衆化が大きく進んだ状況が反映されたものだろう。(琴栄進、在日本朝鮮人体育連合会理事長) [朝鮮新報 2004.6.26] |