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〈同胞法律・生活センターD〉 婚姻全般(2)

 Q 日本人女性との結婚を考えています。日本人との結婚に複雑な感情を持っている両親から国籍を私と同じ朝鮮にし、姓も私と同じ「朴」にするなら、という条件が出されました。

 こういったことは現在、可能なのでしょうか? また婚姻届をするにあたって注意しておくべきようなことはあるのでしょうか?

 A まず婚姻届を出すにあたっての注意事項ですが、結婚する男女がそれぞれの本国法での婚姻要件をそなえているかということに留意すべきです。重婚でないかとか婚姻可能年齢に達しているかといったことです。ちなみに共和国法、韓国法、日本法のどれもが重婚を禁止していますので、当然結婚する男女の何れかが重婚だと結婚出来ません。また婚姻可能年齢については日本と韓国が男性18歳以上、女性16歳以上であるのに対し、共和国は男性18歳以上、女性17歳以上となっています。

 婚姻届時にはこういったことを確認するために「婚姻届と一緒に戸籍謄本も出して下さい」と役所で言われることが少なからずあります。しかし、外国人登録上の国籍欄が「朝鮮」表示の同胞の中で韓国の戸籍登録している人はあまりいないのはご存じの通りです。こんな場合も本国官憲発行の証明書を添付することが困難な状況にあること、婚姻届を提出するにつき本国法上なんら問題がないことを記した申述書を代わりに提出すれば大丈夫です。

共和国の国籍取得は可能

センター相談員紹介−蛭田孝雪さん(弁護士)

 同胞法律・生活センターで在日の皆さんから、家族やお金に関するものや、不動産や相続など幅広く相談を受けています。日本人の相談ととりわけ異なるところはなく、誰にでも起こり得ることにやはり在日の方も悩んでおられるのだなと思っています。

 しかし、在日同士のトラブルの場合、一方的に依頼者の立場からではなく、なんとかうまく調和できないかと悩むところです。

 次に国籍と姓を同じにできるかについてです。

 国籍については朝鮮民主主義人民共和国国籍を取得できる可能性は十分にあります。共和国の国籍法では共和国籍の者と婚姻した者が自動的に共和国の国籍を取得することにはなっていません。しかし、同国国籍法第6条では「無国籍者または外国公民は、請願により、朝鮮民主主義人民共和国国籍を取得することができる」としています。実際、この条文に基づき在日同胞と結婚した日本人配偶者が請願をした結果、共和国国籍を取得したケースがここ数年間でも複数あることからも、共和国政府はこういったケースでは基本的には請願があれば取得を認めているようです。

 ただし、共和国国籍を取得しても日本国籍を喪失できない(必然的に外国人登録をされることも、外登証を持つこともない)現状にあることに留意しておく必要があります。日本政府が、国交がない、国家承認をしていないということを理由に、共和国国籍を取得したことを証明する書類を提示しても、それを承認し、そのことによる日本国籍の喪失を認めないからです。これは国交正常化がなされれば当然解決する問題であることはもちろんですが、国交正常化される前においても共和国国籍の承認がなされてしかるべきであることは言うまでもありません。ただ、日本政府がどう扱うかにかかわらず、共和国政府が国籍を付与し、同国の国民として扱うことに変わりはありません。

南は居住要件が障害に

 以上、共和国を本国とする同胞との前提で書きましたが、参考までに韓国国籍の取得についても簡単に述べますと、1998年6月14日の改正国籍法施行以後は韓国国民の配偶者になったとしても婚姻した状態での2年以上(婚姻後3年以上経過した夫婦の場合は1年以上)の韓国居住が要件となっており、多くの場合、この要件を満たすことは難しいと言えるでしょう。

 姓については日本国籍のままでも婚姻後6カ月以内なら市役所などの町役場で、それを過ぎても家庭裁判所の許可を貰う方法で夫と同じ「朴」姓に変更することができます。また共和国国籍取得の請願をするにおいても姓については「朴」姓を希望すると明記しておけば良いでしょう。

 ◆サポーター募集中! 同胞法律・生活センターでは住まいサポート活動を多くの有志の方々の協力を得ながら展開していきたいと思います。◆コリアンの住まい探しに協力してくださる不動産業者、家主の方々、ぜひご連絡ください。◆日本語をネイティブとしない方のための通訳サポーターも募集します。当センターの通訳サポーターとして登録させて頂いた上で、ボランティアとして活動していただきます。(金東鶴、NPO法人同胞法律・生活センター)

[朝鮮新報 2004.11.22]