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〈コリアン学生学術フォーラム2004〉 「在日の可能性」に答える

 コリアン学生学術フォーラム2004(同実行委主催)が4〜5日、東京都江東区の東京スポーツ文化館で行われ、留学同盟員160人をはじめとする同胞学生、朝大生、南朝鮮と中国朝鮮族の留学生、日本人学生ら約260人が参加した。特別講演に始まりコンサート、朝・日学生による討論会、リレートーク、スポーツフェスティバルなど盛りだくさんのイベントを通じて、各地から集まった参加者らが交流を深めた。メインとなったテーマ別分科会では、8部門で計42編の論文が発表された。統一コリア賞(賞金20万円)は、同志社大学工学部4回生の金孝京さんら3人による「民族学校周辺の交通安全措置に関する実態調査〜日本学校との比較研究」に授与された。各賞を受賞した論文など、「統一テーマである在日コリアンの可能性に答えたもの」(審査委員長の洪南基、神奈川大学講師)が多かった。

徐勝教授、「平和」をあらためて強調

統一コリア賞」に輝いた金孝京さん(中央)ら3人

 今年で3回目を迎えた同フォーラムの目玉は、立命館大学の徐勝教授と同志社大学の浅野健一教授が出演した特別記念講演「統一コリアと東北アジアの新時代創造のために〜今、求められる視座〜」だった。

 徐教授は、まず今回の話を通じてメッセージとして伝えたいのは「平和」だと強調。和解、平和から戦争のグローバリゼーションに進んでいることに警鐘を鳴らしながら、米国は軍需産業を維持する必要性から崩壊したソ連に替わる新しい「醜いあひるの子」を次々作っていると指摘した。

 また、あらゆるすさまじい葛藤を乗り越え発表された6.15南北共同宣言は、21世紀に平和を構築するうえでプロトタイプになると語った。そのうえで、若い学生たちの未来には可能性が広がっていると、エールを送った。

 浅野教授は、「日朝国交正常化の重要性とジャーナリズムの責任」と題し、9.17以降、連日のように行われている「反北朝鮮キャンペーン」の本質について解説。小泉政権の間に日朝国交正常化が実現する可能性があり、そうすれば南北統一も実現するだろうとして、南北、日本の3地域がパスポートなしに往来できるようにすべきだと述べた。これこそが、東北アジアの新時代創造につながると結論づけた。

盛り上がった日朝フレンドシップ討論

 1日目の夜に行われた日朝フレンドシップ討論会。

コリアンユースコンサート(演奏は東京音大の崔誠一さん)

 @朝鮮民主主義人民共和国について語ろうA「韓国ブーム」で一体何が変わったんだろうB在日朝鮮人差別はもうなくなったのだろうか−の3つのテーマ別に、在日と日本人学生が本音で語り合った。いずれも現在の朝鮮半島と日本との関係を語るうえで欠かすことができないだけに、討論に参加した学生たちも本音をぶつけ合い、真剣に語り合っていた。

 「朝鮮民主主義人民共和国について語ろう」では、日本人学生が、メディアの報道でしか情報を得られない朝鮮について、実際はどんな国なのか聞きたいと質問。朝大生やピースボート関係者らも交えて朝鮮の印象について語り合った。意見がかみ合わない部分も当然あったが、互いを知り合うことが大切であるという点では認識を一つにしていた。

 日韓学生フォーラムに所属する竹内さとみさん(国際キリスト教大学3年)は、「朝鮮と国交のない現状で、在日の人たちと交流することで、間接的に朝鮮のイメージを変えていければ」と語りながら、こうした集まりにより多くの日本人学生が参加すべきだと強調していた。

「来年も必ず来たい、発表したい」と思う

 3回目の統一コリア賞受賞論文は、「民族学校周辺の交通安全措置に関する実態調査〜日本学校との比較研究」に授与された。同時に留学同中央賞にも輝いた力作だ。

 論文は、日本学校と民族学校周辺道路を比較した場合、日本学校周辺にはいわゆるスクールゾーンや交通安全措置が施されているのに対して、多くの民族学校には交通安全措置がなされていない現状を踏まえ、今後民族学校周辺の交通安全措置を実施するための対策案、そしてその措置が講じられた後どのように交通安全を実現していくかを考察しまとめた。

8部門に分かれて分科会を開催

 論文執筆者の一人、金孝京さんは、「一人でも多くの人に読んでほしいと思っていたので、それが評価されてうれしい」「全国的に運動を展開していければと思う。その際には留学同が中心になっていけたら」と喜びを語っていた。

 統一コリア賞には一歩及ばなかったものの、高い評価を受け、審査員特別賞に輝いたのが「在日朝鮮人の国籍問題解決に向けての提言」。立命館大学法学部4回生の金聖倫さん、同国際関係学部2回生の呉仁済さんが共同執筆した。

 「不安定な在日の法的地位を改善する策を考えられないか」(金さん)という問題意識から、一気に書き上げた。日ごろから問題意識を持って追求してきただけに、論文作成過程はおもしろく取り組みがいもあったという。「道筋をつけられた」(呉さん)。

 金さんは、「フォーラムに一度参加すると、来年も必ず来たいと思うし、自分も何か発表したいと意欲がわいてくる」とこれからも続けてほしいと感想を述べた。

 詳しくは学術フォーラムホームページ参照(http://www.advance-k.net/~forum)。(文聖姫記者、統一コリア賞の論文は次号掲載)

[朝鮮新報 2004.12.9]