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そこが知りたいQ&A−総連中央会館に対する固定資産税問題の現状は

 総連中央本部会館(東京都千代田区)に都が固定資産税等の不当な課税処分を課したことで、総連中央側がこれを不服として石原慎太郎都知事あてに審査請求を行ったことと関連し、昨年12月に続き2回目の審議が21日、都庁舎内で行われた。しかし、1回目に続いて、都側の参考人はこの日も欠席。3回目の審議日程も決まらないままだ。「初めに結論ありき」の態度に弁護団は怒りを隠さない。これまでの経緯、課税の不当性などについて、Q&Aで見た。

 Q 2回の審議に至るまでの経緯について。

 A 東京都は昨年7月17日、都内の総連中央本部建物などに対する固定資産税等の課税を千代田都税事務所に命じ、9月9日には「納税督促に応じない」として、差し押さえ処分を行った。これに対し総連中央側は9月3日、都の課税処分を不服として、石原都知事あてに法的手続きにのっとって審査請求(不服申し立て)を行った。それに基づき、昨年12月11日、今年1月21日の2回、都庁内で審議が行われた。総連中央側は2回とも参考人を出席させたが、被審査請求人である千代田都税事務所長らは2回とも欠席した。3回目の審議は日程すら決まっておらず、「初めに結論ありき」の意図は明白だ。

 Q 今回の課税処分はなぜ不当なのか。

 A 総連中央本部の建物は約40年間、実質的に朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)の在外公館としての役割を果たしてきた。在外公館に課税しないのは国際法で確立されている。1964年に締結されたウィーン条約には、在外公館、施設への非課税が明記されている。

 72年4月、当時の美濃部都知事は、総連が在外公館の役割を果たしてきたとして、「市民外交」の立場から「64年にさかのぼって」固定資産税、都市計画税の免除を決定し、以後の鈴木、青島都政下でも自動的に免税は実施されてきた。しかも、石原都政下でも1期目と2期目の昨年までは免税扱いにされてきた。

 課税処分は法的には、「公益のために直接専用する固定資産」に対しては固定資産税を減免すると規定した都税条例134条1項違反。さらに、「法の下の平等」をうたった日本国憲法第14条、行政は人々を裏切ってはならないという「信義誠実の原則」にも違反する。

 Q 都側はなぜ突然、課税処分したのか。

 A 「北朝鮮憎し」の知事の個人的感情を背景にした政治的意図がありありだ。

 総連中央側弁護団の一人、北野弘久日大名誉教授は、「(拉致問題による)『北への反感』を利用して一種の『制裁』を加えようとしている」としながら、「知事の個人的感情と、朝鮮総連への課税問題とは明白に区別すべきだ。『法の支配』の問題として冷静に解決すべきだ」と語っている。第2回審議に総連中央側参考人として出席した轄同税経センターの松岡寛取締役会長も記者会見で、「拉致問題があるからといって外交問題をすべて閉ざしてはいけない。米国でさえ(核問題で対立していても)遺骨発掘調査団は引き続き訪朝しているではないか」と述べた。

 Q 総連中央は固定資産税等を納税しているというが。

 A そのとおりだ。1月現在で3期分まで納税している。昨年9月30日、1、2期分の固定資産税等を千代田都税事務所に納めた際、総連中央の呉亨鎮副議長は記者会見で、「課税処分の正当性を決して認めるものではない」と強調。同席した北野名誉教授は、脅迫電話や嫌がらせが相次ぐなど在日コリアンを取り巻く状況が厳しいため、納税したうえで法的に争うことにしたと、その理由について語った。

 ただし、この問題が「裁判になれば、都が勝てる道理はない」(北野名誉教授)とされる。そうなれば都は、納税分を利子をつけて返すことになるのは当然だ。

 Q 第3回審議の日程は決まっていないのか。

 A そうだ。弁護団では審議の開催と参考人の出席を引き続き求めていく方針だ。場合によっては、刑事告発、損害賠償請求も検討している。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2004.1.27]