県の千葉朝鮮初中級学校への補助金削減方針に同胞ら反対の声 |
昨年11月末、千葉県は財政難を理由に今年度から私立学校への経常費補助金を3割カットする方針を明らかにした。県内にある千葉朝鮮初中級学校への補助金は年間133万円減額される。千葉地域同胞生活相談総合センターの代表らは13日、県に対して補助金の増額を求める要請を行った。18日には千葉初中のアボジ会、オモニ会会長らも要請を行った。県内の同胞、保護者らは、「ウリハッキョへの補助金額は日本の私立学校に比べ8分の1。なのに増額はおろか削減されたことは許せない。県は朝鮮学校の実情を何もわかっていない」と反対の声を強めている。今後、県下同胞らに呼びかけ、毎週要請活動を行っていく方針だ。(金明c記者) きちんと回答を
今回の決定を受け、同胞生活相談総合センターではさっそく県に要請を行った。 センターの沈載熊所長、千葉支部の李英植委員長をはじめとする代表ら6人は13日、県庁を訪れ、経常費補助金の増額を求める要請書を学事課に手渡し、知事に伝えるよう求めた。 要望内容は、@私立学校経常費補助金の削減を訂正し増額することA校舎、校内の補修及び修理に要する費用を定期的に支給することB堂本暁子県知事が今年度中に千葉初中を訪問し、民族教育の現況を直接見ることC学校教育法1条に準ずる教育機関としての評価を県独自が行うこと−の4つだ。 席上、李委員長は、「今回の措置で朝鮮学校保護者らに負担が重くのしかかるのはわかりきった事だ。30代の学父母たちは怒りをあらわにしている。何ができてなにができないのか、要請に対してのきちんとした回答がほしい」と訴えた。 このような訴えに対して学事課担当者らは、「県は現在400億円の赤字を抱えている。『各種学校』扱いである朝鮮学校への補助金増額はどう考えても難しい」と話した。 女性同盟千葉支部の南英姫副委員長は「県によって助成金はまちまちでどこも財政難なのはわかる。しかし、子供の学ぶ権利は保障されなければならない。経済的理由で日本学校に送る保護者らも少なくないが、本当は民族学校に通わせたいと願っている。補助金が増額されるまで父母たちで要請を行うつもりです」と語った。 世論喚起へ
千葉初中への私立学校経常費補助金は85年に交付され、02年度には695万円が支給されている。今年度は562万円に減額。一人当たりに換算すると約3万6000円で、これは日本の私立学校の8分の1にも満たないという。 沈所長は、「補助金を私立並みに増額することと学校教育法1条に準ずる学校として県に評価してもらうこと。この2つの要請は何度もしている」と話す。 過去、県下の同胞らと共に県議員らも交えて要請活動を行ってきた。 00年10月に発足した「朝鮮学校を支援する千葉県自治体女性議員の会」(03年9月4日、「朝鮮学校を支援する千葉県女性議員と県民の会」に改名)では、01年6月に栗山栄子代表(県議、社民党)ら役員が千葉県庁に堂本暁子知事を訪ねた。一行は、「朝鮮学校の学父母が日本人と同様に納税義務を果たしているにもかかわらず、十分な教育権利を受けられず経済的負担が多い」と訴え、千葉朝鮮初中級学校に支給されている補助金を日本の私立学校の水準に上げるよう要請した。 また、03年11月、同会の代表らが県庁を訪れ白戸章雄副知事と面談。補助金増額を求める要望書を提出している。 「たび重なる要請にもかかわらず、県の回答がないまま減額というのは納得がいかない。今後、知事に朝鮮学校を直接見てもらい、カリキュラムや教科書、校舎や教育設備の老朽化、補助金の削減により保護者への負担が大きくなることなどの現況を知ってもらうことが重要だ」(沈所長) 要請に同行した総連千葉支部の金鍾浩副委員長は、「県が朝鮮学校についてよくわかっていないことに驚いた。権利獲得のためにはとにかく何度も訴えていくしかない」と語気を強めた。アボジ会の孫重根会長も、「役所関係の人たちは朝鮮学校の現状について何もわかっていない」と話した。 「ここで一致団結しなければ」と語るオモニ会の李福林会長。「すべての学父母が関心を持つように当番制で要請するよう働きかけていきたい」。 沈所長は、「今後、県下の各団体や同胞、学校を中心としてアボジ会、オモニ会とともに世論を喚起させ、4つの要請内容を勝ち取るため最後まで運動を展開していくつもりだ」と語った。 [朝鮮新報 2004.2.21] |