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〈東京朝鮮第2初級学校土地問題〉 16日に初公判

 東京都が提訴した東京朝鮮第2初級学校(江東区枝川、宋賢進校長)のグラウンド用地払い下げ問題に関する初公判が16日、東京地裁631号法廷で行われた。公判では、東京朝鮮学園の趙性周理事長が、46年間オモニ会に携わってきた父母の会相談役の金敬蘭さんの手記を代読した。裁判後、記者会見した趙理事長、金さん、新美隆弁護士をはじめ枝川裁判弁護団のメンバーらは、枝川に朝鮮人が住みはじめ、朝鮮学校が建てられた歴史的経緯から見ても今回の都の訴えは不当であると主張した。なお同日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で「民族教育権4.16集会」が行われ、枝川裁判、外国人生徒の国立大学受験資格問題などに関する報告があった。250人以上の参加者で場内は熱気に包まれた。

初公判後、記者会見する弁護団ら

 昨年12月15日に提訴した都側の請求の趣旨は、@東京朝鮮第2初級学校の校舎の一部を収去して、校舎の敷地の一部と校庭の一部の土地を明け渡せA1990年4月以降の上記土地の使用相当損害金として約4億円、2003年12月1日以降明け渡しまで1カ月当たり計121万余円を支払え−というもの。70年から20年間の土地使用賃借契約が90年3月31日に終了しているので、その後は「不法占拠」だとしている。

 これに対し、東京朝鮮学園と学校側は、枝川1丁目地区及び東京第2初級の歴史的経緯から見ても、明け渡し等は到底受け入れられないと反論してきた。

 それによると、埋立を終えたばかりのゴミ処理場しかない荒れ地であった枝川地区に41年、東京市(現東京都)は粗末なバラック住宅を建て、江東区に住む朝鮮人約1000人を強制移住させた。

 埋立地であることから整備もされず、近くにはゴミ焼却場があり、悪臭とハエや蚊などに悩まされた。排水施設も劣悪で雨が降れば住宅は浸水した。

 戦後、一切の管理を放棄した都は当時の朝連に管理を委託(現在は枝川住宅管理委員会が受け継ぐ)。住民たちが助け合って自力で住宅管理、下水道、ガス引き込みなどすべて解決してきた。

 東京第2初級も、日本当局が民族学校を敵視し、国庫補助が一切ない中で、植民地支配下で奪われた民族の言葉と誇りを取り戻すべく、同胞が子どもたちのために極貧の生活の中から身を削って築き、守ってきたものだ。

 こうした歴史的経緯、民族教育権を守る問題については、初公判で読み上げられた金敬蘭さんの手記に具体的に明らかにされている。金さんは記者会見の席上、「民族教育は私たちの権利、希望、命である。命まで奪われてはたまらない」と語った。

 法的には、@無名契約たる朝鮮学校用地無償貸付契約に基づく占有権限A使用貸借契約の継続による占有権限B信義則違反、権利の乱用―の3点から主張を展開している。

昨年8月、都が態度一変、自称「住民」の監査請求機に

 【解説】東京第2初級の土地問題に関しては、63年12月、校舎の建替えに際して東京朝鮮学園が都から払い下げを受け購入し、翌年9月に登記している。グラウンドについては、定額賃貸(55〜70年)契約に基づき無償使用(〜90年)し、01年から昨年7月までは都と学園の間で払い下げに関する交渉が行われてきた。この間、都との交渉、裁判を通じて220戸(同胞約40%、日本人約60%)を超える枝川住民の土地払い下げが円満に解決された。校内の駐車場の土地も払い下げられている。

 住民の土地払い下げ交渉が00年に再開されたのを機に、翌01年2月、都職員の要請により92年から中断していた交渉が再開された。都関係者は同年9月、学校訪問後の住民との意見交換の場で、@歴史的な経緯を尊重するA住民の条件に沿った形で払い下げを検討する−などと述べていた。昨年7月、都は8年間も交渉が中断したことを謝罪し過去の問題は請求しないとの立場まで表明していた。

 だが、1カ月後の8月、枝川地域に居住していない「住民」を自称する者からの監査請求を受けたのを機に都側は態度を一変。それまでの交渉担当者を交代させ、9月1日から内容証明郵便を4回送付し、莫大な金額の使用料などを請求した。

 東京朝鮮学園と学校側は、都側に交渉を継続しようと申し入れたが、都は10月、「交渉での解決は無理」と打ち切り、同月31日、「学園用地明け渡し通知」を一方的に送りつけ、12月1日まで結論を出さなければ裁判に持ち込むと通告した。

 同校オモニ会、都内の朝鮮学校教員らが日本市民を含む地域住民などを対象に署名運動を展開し、これまでに1万5000人分を集めた。

 同校の宋校長は、「1世が建て発展させてきたウリ学校を引き続き守り発展させるのは私たち2、3世たちだ。団結した力で必ず勝利する」と語っている。次回公判は7月15日に行われる予定。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2004.4.20]