城北初級代表ら、大阪・門真市の補助金減額撤回求め市教委に抗議 |
大阪府門真市は、これまで支給してきた年額40万円の在日外国人教育推進助成等補助金額を今年度から、30万円に減額する事を決めた。同市からは、補助金対象の城北朝鮮初級学校(大阪市旭区)に13人の生徒が通っている。突然で一方的な通達に同校教員や関係者、学父母らは「事前の調査もなく、『市の財政難』の一言で片付けるのは在日コリアンや外国人に対する人権侵害だ」として、李東河校長をはじめとする代表ら4人が5日、門真市教育委員会を訪れ抗議。補助金増額を求める要請書を同市教育委の下浦克明教育長あてに提出した。李校長らは今後も学父母らと共に決定の撤回と市からの適切な回答を求めていく方針だ。 財政難の一言で
「在日外国人教育推進助成等補助金について」の通知は、5月18日付で大阪朝鮮学園の蔡成泰理事長あてに送られてきた。 通知を受け取った学園側は、一番下に書かれた「備考、平成16年度門真市予算は30万円です」の文章に目を疑った。 「前年度は確か40万円だったはず」。城北初級側は5月28日に門真市教育委員会に出向いて説明を求め、今月5日に人権教育課課長と面談する約束を取り付けた。 面談の場で李校長は、一方的な通知で保護者らは一体どういう事なのか怒っていると、減額の理由について説明するよう求めた。 対応した門真市教育委員会の阪口順治課長は、「ここ数年、市の財政が非常に厳しくなっている。決定的な原因となっているのは来年の4月に守口市との合併が予定されていることだ。守口市が支出している額と同じ30万円にする事が3月の市議会で決まった」と回答した。 李校長は、老朽化した学校の写真資料を見せながら、「市の財政が厳しいのはわかるが、だからといってなぜ教育費を削るのか納得いかない。市の朝鮮学校に対する姿勢が問われる」と指摘した。 同行した総連大阪・河北支部の宋東輝副委員長は、「市の朝鮮学校に対する考えや政策はどうなのか。学校に事前に通知もなく議会で可決されたのが理解できない。学校を視察もせず、話も聞かずに減額するのは許せない」と追及した。 「日本と朝鮮との間に国交がないから、助成金や教育の諸権利が認められないという問題ではない」と語気を強める同校教育会の安寿福総務部長。「子どもの権利条約の締約国である日本が何も果たせていない現状を、人権課の職員らは知っているはず。行政は民族教育にしっかりと関心を持ってほしい」。 同校学父母の梁泰弘さん(33)は、一度も学校を訪れることなく「市の財政難」を理由に補助金減額を断行するのは納得いかないと怒りながら、「今、私は自分の子どものため、学校に通う生徒たちのためにこの場に来ている。課長としてでなく、一人の人間として良心的にこの問題に取り組んでほしい。朝鮮学校の財政難、学校の老朽化など、実態を直接来て自分の目で見て確かめるべきではないか」と求めた。 現在、同校に通う生徒数は86人(幼稚園児含む)で門真市、守口市、大東市、寝屋川市、枚方市、東大阪市、大阪市(旭区、都島区、東成区、鶴見区、城東区)の7市から通っている。 李校長によると、大阪市を除くと門真市から通う生徒らが13人と一番多く、40万円の補助金額は当たり前の事だと強調する。 現在、全国の朝鮮学校生徒一人当たりの助成金年額は平均約8万円。公立小学校84万円(00年度)、私立小学校28万2000円(02年度)で、私立学校と比べても4分の1にしかならない。 また、同校の校舎は創立当時(1959年)そのままの2階建て木造校舎で老朽化が激しい。体育備品も不足するなど、教育環境は悪化するばかりだ。 この状況を打開するため、学校関係者らは日本の人々に民族教育の内容や現況を訴える活動に力を入れてきた。 過去数度にわたって教育会、アボジ会、オモニ会が大阪市と市教育委員会に対して校舎新築、改築への助成と保護者補助金の支給を求める要請書を提出してきた。02年には「大阪府北河内、城北地域の日朝友好市民の会」が結成され、日朝国交正常化を求める世論を高める一方、城北朝鮮初級学校を支える運動を展開してきた。 学校視察の目的で市議会議員らを招請したり、会員による学校の視察、学父母らとの懇談会など活発な活動を行っている。 「今年は創立45周年。50周年には改築をしたいという思いもあるが簡単にはいかない。日朝親善の見地からも今回の決定の撤回を強く望む。父母らと共に継続して要請を続けていきたい」(李校長) 同校では、一人でも多くの人の理解を得るために10月27日、日本学校の教員や市の職員、近隣住民を招いて公開授業を予定している。(金明c記者) [朝鮮新報 2004.7.13] |