在日本朝鮮人人権協会編集の「在日コリアン暮らしの法律Q&A」発行 |
在日コリアンが日本で生活するうえで直面する法律問題を、各地人権協会の相談員やNPO法人同胞法律、生活センターに実際に寄せられた相談をもとに、Q&A方式で細かく解説した相談事例集。 全8章からなり、1章「国籍」、2章「婚姻、出生、親子関係」、3章「外国人登録」、4章「社会保障、社会福祉」、5章「入国、出国」、6章「暮らしと税務」、7章「相続」、8章「日常生活あれこれ」の順。設問の内容としては、国籍、外国人登録、出入国、結婚、出産、保険、税金、相続などの問題に始まり、交通事故、病気、金銭トラブルのような日常に起こりうるさまざまな問題までも網羅している。 とくに、世代交代が進み、同胞の価値観が多様化する中で、国際結婚や日本国籍取得者が増加する在日同胞社会の現況に即した問題が多数取り上げられている。 同胞の弁護士、税理士、大学教員ら、分野別の専門家が解説にあたっており、日本の法律だけでなく、北南朝鮮の法律を織り交ぜながら、表や箇条書きなどを用いてわかりやすく説明している。 さらに、在日の問題を論ずるのに欠かせない日本の植民地支配、朝鮮半島の分断、日本での差別などの歴史的背景をしっかりふまえ、重要な問題や、専門用語などをコラムで取り上げ丁寧に解説している。巻末には参考資料も多数掲載されている。 読者のためのサポート態勢も万全だ。本を読んでわからないことや、判断が難しい問題などについて、一般の人はもちろん、専門家や研究者の相談にも、人権協会とセンターの職員らが対応するとのことだ(センターTEL 03・5818・5424)。 日本に住んでいる限り必ず役に立つこと受け合い。一家に一冊、ぜひ置いておきたい。 巻末資料には、民族教育権関連年表、朝鮮学校所在地、国連条約委員会による勧告、なかなか便利なホームページリンク集、参考法令が収められている。同資料の作成まで含め執筆に参加した人権協会会員は57人、編集委員会の実施回数は12回、時には合宿を行い、さまざまな議論の結果として同書が生まれた。 [朝鮮新報 2004.7.14] |