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〈4月に行われる南の総選挙〉 「変化」への対応が焦点

 4月15日に南朝鮮で第17代総選挙が行われる。現在、南の政界は与野党を巻き込んだ一昨年の大統領選挙時の不正資金問題などにより昨年末から混沌を極めている。こうした中で市民は旧態依然とした政界の腐敗ぶりからの変化を強く求めており、与党の「開かれたウリ党」が世論を徐々に獲得しつつある。市民は2000年の16代総選挙に続いて今年も「総選挙市民連帯」を結成し、腐敗政治家の落選運動に乗り出した。

広がる地殻変動

 「これまでの選挙では(政党選びに)なんの問題もなかったが、今は『この政党』とすぐに決めることができない。よく40歳は不惑の年代だと言われるが、光州の40代は誘惑の季節を迎えている」

 総選挙を前に、市民たちの間で地殻変動が起きている。これまで南の社会では、「湖南(全羅道)は民主党、嶺南(慶尚道)はハンナラ党」という地域主義が根強かった。しかし、地域主義の克服を政治課題の一つとして掲げた盧武鉉氏が大統領になり、彼を支持する与党「開かれたウリ党」が地域主義の打破に乗り出したこと、何よりも市民たちの意識改革によりこれまでの地域主義に亀裂が生じ始めているのだ。

 ハンギョレ新聞は2月3、4の両日、総選挙を前に行われてきた各種世論調査でもっとも顕著な変化を示した光州の40代男性と釜山の30代男性(ホワイトカラー)を対象に座談会を催した(2月6日付インターネット版に光州、9日付に釜山の座談会の内容を掲載)。

 光州の座談会である出席者は、「民主党と『ウリ党』についてどう思うか」との質問に、「以前は民主党といえば自分たちの党だ、と思っていた。固定観念があって有無を言わずに民主党を選んでいたし、多くの人がそうだった。しかし、今はそうではない」と答えた。また「ウリ党」については、「最初は新鮮味があってクリーンなイメージがあったが、だんだん従来の党と同じになっているようだ」と評した。その一方で、「『ウリ党』の支持率が横ばいから上昇に転じている。これは盧大統領がうまくやっているからでもなく、鄭東泳代表の人気があるからでもない。もちろんこうした要素も若干作用しているだろうが、何よりも変化を望む民心に応えようとする姿勢があるからだ」との意見も出された。

 釜山での座談会では「長年付き合ってきた彼女がいるが、嫌いになったので替えようと思っている。替えようと思った理由はいろいろあるが、もし彼女が来て謝ったらよりを戻すかもしれない」と、ある参加者が発言した。ここで言う「彼女」がハンナラ党の例えであることは言うまでもない。

 参加者らは、ハンナラ党についておおむね否定的な評価を加えながらも、感情的には愛着感を持っていた。金某氏(31歳)は、「否定的な要素が多すぎて今では好きではない」と言いながらも、「それでも内輪の仲間だし、支持はしなければ」と語った。

 しかし他の参加者からは、「好きか嫌いかの二者択一なら、嫌いだ。長い年月の間に腐敗したハンナラ党は反省すべきで、自分の気持ちは新しくできた党(「ウリ党」)に変わりつつある」との意見も。

多様な落選運動

 参与連帯、環境運動連合など279の各部門、地域、市民社会団体で構成された「2004総選挙市民連帯」(総選挙連帯)は2月3日、ソウルで発足式を開き「政治圏の自浄能力にこれ以上期待することはできない。2000年に引き続いて落選運動を展開し、第2の有権者革命を引き起こす」と宣言した。総選挙連帯は同月5日と10日の2回にかけて落選運動対象者を選定し、3月中旬に対象者を発表する予定だ。

 落選運動対象者の基準として総選挙連帯は、@不正政治資金などの腐敗への関与、A選挙法違反の前歴、B反人権、民主憲政秩序の破壊行為、C活動の不誠実性と反議会、反有権者的行為、D改革法案、政策に対する否定的な態度、E道徳性と資質、などの6項目に確定した。とりわけ、「不起訴になったり司法処理が終了していなくても、金品授受の事実や利権請託などが状況上、十分に認められる場合」と「有罪判決後、赦免復権しても公職につかないほうが望ましいと判断される場合」なども落選運動の対象に含むことにしたことにより、現在検察の捜査を受けている現職議員の相当数が対象者に含まれることになる。また、「大勢追従といった権力追随型の風見鶏政治家」は反有権者的行為を犯した者に含まれることになった。

 一方、総選挙連帯の下部組織にあたる「2004仁川総選挙市民連帯」も同日、仁川地域選出の13人の議員のうち、朴尚奎、李敬在、李允盛、黄祐呂のハンナラ党所属の各議員、朴相熙民主党議員、宋永吉「ウリ党」議員の計6人が落選運動対象者になりうると警告した。また、過去に選挙法違反の前歴があったり、政治家としての資質を問われているハンナラ党の閔鳳基議員、民主党の趙漢天議員、「ウリ党」の安泳根、李浩雄両議員に対し解明資料の提出を要請した。

 総選挙連帯は2月29日、ソウルで「政治3悪追放運動本部」を発足させ、「腐敗政治、地域感情、金権選挙など選挙の時ごとに乱舞する政治3悪を有権者が直接清算し、今年を選挙革命元年にする」と強調した。政治3悪運動は、総選挙連帯が落選運動とは別に展開する現場での不正選挙監視運動。運動本部ではこれとともに1万人規模のオン・オフライン市民監視団を結成し、選挙運動の現場とインターネットなどを通じて不正選挙に対する監視活動を行う予定だ。

 総選挙連帯など腐敗政治との決別を目指す世論は今後さらに高まる見込みで、場合によっては大きな変化が起きるかもしれない。しかし、与野党の優劣はまだはっきりしておらず、盧大統領にとっては気の抜けない状況が続くだろう。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2004.3.8]