top_rogo.gif (16396 bytes)

朝鮮中央通信、「人権じゅうりんの総本山−米国」のタイトルで論評発表

 朝鮮中央通信は5日、米国が「人権報告書」を発表し朝鮮をはじめとする各国の人権状況について言及したことと関連し、「人権じゅうりんの総本山−米国」とのタイトルで論評を発表した。全文は次の通り。

 最近、米国は「人権報告書」を発表し、わが国をはじめ世界の多くの国々の「人権状況」について言いがかりをつけた。

 人権について語る時、米国はそれを口に出す資格もない世界最悪の「人権抹殺国」「人権じゅうりんの総本山」である。これは、世界の社会界がこぞって認めている明白な事実である。

 1948年に採択された「世界人権宣言」第3条は、次のように規定している。

 「すべて人は、生命、自由および身体の安全に対する権利を有する」

 しかし、人間として最低限享受すべき衣食住の権利さえ奪われたまま、死にきれず生きていかなければならないのが「万民福祉」「万民平等」を喧伝する米国社会の現実だ。

 公式の統計資料によると、02年の米国での貧窮者の数は3460万人に達した。前年比170万人増えている(米連邦統計局、03年9月26日)。

 02年、全国的に飢えに苦しんだ家庭の数は前年比8.6%増の380万世帯に達した(米農務省、03年10月31日)。

 特に02年10月末現在、カリフォルニア州ではわずかな収入しかないため、常に食糧難に苦しむ人々の数が200余万人に達しており(カリフォルニア大学、02年11月4日)、ロサンゼルス市でも都市人口の33%にあたる77万7000余人の住民が飢餓に苦しんでいるという(AP通信、02年11月3日)。

 また、高額な家賃の絶え間ない引き上げにより、米国のほとんどの一般市民はマイホームで暮らす考えすら持てない。現在、米国での住宅問題はその深刻性において第2次世界大戦末期の水準に近いものがあり、全国的にホームレスの数は300余万人を記録している(人民日報、03年4月4日)。

 昨年12月17日の米国市長大会で発表された調査報告によると、03年に全国主要都市で家がないために緊急避難場所が必要となった件数が02年比13%も増加したことが明らかになった。ニューヨーク市だけでも、昨年1月に家がなく臨時避難場所で起居していた人数は前年同月比で7400人も増え3万8000人に達したという。

 一方、医療が人々の健康増進のためではなく金儲けの手段となっている米国では、絶対多数の貧乏な人々は病気になると死ななければならないという境遇に陥っている。

 米国では、「医療保険」にさえ加入すればいつでも治療を受けられるという「保険制度」が実施されているが、多くの人々は「医療保険」に加入する金がないため病気になっても治療を受けられずにいる。02年の1年間だけでも、こうした人の数は4360万人にのぼった。これは前年比で240万人増である(米連邦統計局、03年9月30日)。

 昨年12月、ロサンゼルス・タイムスは、毎年全国で7600万人の住民が不潔な食料品を食べたために病気にかかり、そのうちの5000余人は金がないため治療も受けられず、世を去っていることを明らかにした。

 人間の生命権と不可侵権に関しては言うまでもない。

 昨年8月24日、米司法省が発表した調査資料によると、日々増加する各種犯罪により、02年には全国的に2300余万人の住民が生命権と不可侵権をじゅうりんされたが、暴力犯罪による被害者だけでも人口1000人あたり23人に達した。

 01年の犯罪件数も、過去10年間の年平均件数に比べ2.1%増加し、この期間の殺人犯罪は一日平均44件発生し1万5980人が命を失った(米連邦捜査局、02年10月28日)。

 なかでも銃犯罪は米国社会全体を不安と恐怖に陥れている。

 周知のように、米国では延べ2億3500万丁の各種武器が出回っており(ニューヨークタイムス、01年12月18日)、銃が使用された犯罪により毎年3万余人が被害を受けているという。

 昨年1月、ロサンゼルス市警察当局は、現在、市内に407の組織的犯罪グループが存在し、彼らによる犯罪行為により02年、同市は全国的に殺人事件の発生率が最も高い都市になったことを明らかにした。これらの犯罪グループは市を抜け出し、全国180の都市であらゆる犯罪行為に手を染めているという。

 さらに深刻なのは、米国で人間の生命権と不可侵権を法的に保護すべき司法当局が、人権じゅうりんの先頭に立っているという事実である。

 米国のある人権団体は報告で、全国の刑務所で服役者に対する各種暴行事件が毎年約10万件にのぼっていることを明らかにし、バージニア州の元司法長官は最低で25万件、最高で60万件に達すると暴露した(人民日報、03年4月4日)。

 女性服役者に対する人権じゅうりん行為は想像を絶する。そのうちの代表的な例の一つが、アムネスティインターナショナルが01年の人権報告で暴露したウェストバージニア州ウェイン郡刑務所での女性服役者に対する集団セクハラ事件である。報告によると、刑務所側はすべての女性服役者を半裸の状態で男性服役者の前を通過させた後、看守らに身体検査をさせたという。

 このほかにも、ウォーレンツリーズ刑務所で看守が服役者に4500ボルトの電流を流して殺害した事実や、カリフォルニア州刑務所で看守たちが服役者に「古代ローマのフェンシング決闘」を強要、射殺した事実など、こんにち米国の刑務所で行われているこうした例を挙げようとすればきりがない。

 昨年12月10日、米国の人権団体である「USヒューマン・ライツ・ネットワーク」のメンバーは記者会見で、米当局が住民のプライバシーにまで干渉していることに対し具体的な資料を挙げながら、深刻な人権問題を多く抱えている米国社会は果たして「民主主義的な社会」と言えるのか、と怒りをあらわにしたのは決して偶然ではない。

 生存権と関連する基本権利の一つである労働の権利も踏みにじられている。

 米国で職業を持てる権利、労働に対する公正な報酬をもらう権利、安全かつ衛生的な労働条件と合理的な労働時間を保障される権利などは、たわ言に過ぎない。

 米労働省が昨年1月10日に発表した報告によると、01〜02年の間だけでも160万人が職を失った。02年12月現在、米国の失業者数は860万人に達した。

 ニューズウィーク(01年5月号)が明らかにしたところによると、現在米国では優良企業の経営者と一般労働者の賃金格差は400倍にもなるという。一方、ほぼ200万人の労働者が毎年、職場で暴力行為の脅威にさらされており、180余万人が作業現場で負傷している。また、過度の精神的苦痛に苦しむ労働者比率は約20%に達している(ILOとWHOの共同報告、01年10月10日)。

 米国では「自由」と「平等」、「民主主義」について喧伝されているが、事実は大多数の市民の政治的、社会文化的権利は制度的にじゅうりん、抹殺されている。

 米国の選挙制度一つをとってみても、この国で市民の政治的権利がどれだけじゅうりんされているかを知ることができる。米国の大統領選挙は、選挙者による直接選挙の方法ではなく、幾人かの選挙人団による間接選挙の方法で行われている。

 こうした間接選挙方法は、大多数の住民の支持を得られない立候補者でも権力の座に着くことを許している。これについて米国の超党派研究機関であるケイトリン研究所は、「政治の外にいる米国選挙者たち」というタイトルの調査報告で、米国人は政治への参加を望んでいるが、国の不公正な政治現実によって政治に参加する道が閉ざされていると見ていると指摘した。

 米国市民は様々な制限により選挙権を剥奪されている。この国の連邦および州憲法には財産の有無、肌の色、人種、知識水準など多くの制限があり、貧民やマイノリティー、文盲者から選挙権を奪っている。なかでも最たるものが居住地と居住期間である。

 法によると、選挙者は固定した居住地を持っていなければならず、一定の期間ひとところで住まなくてはならない。しかし、この国では数百万人がホームレスとして放浪生活をしており、こうした人々が選挙権を持てないというのは言うまでもない。また、多くの人が解雇などにより職を探して転々としている状況で、仮に居住地があっても居住年限によって選挙登録から除外される人が後を絶たない。

 この他にも、州によって選挙登録手続きが違うことや複雑なことで、多くの選挙者は選挙登録すらできていない。事実、ニューヨーク市の選挙登録手続きはかなり複雑で、ボールペンの色が違っても、指定された日時に登録しなくても駄目なことになっている。

 このような状況で、日々ようやく口に糊しているほとんどの貧しい人々が、選挙に参加したくてもできないのは当然のことである。

 その結果、選挙に参加する人は年々減少している。人民日報(03年4月4日)が明らかにしたところによると、米国の選挙者のうち投票する人の比率は過去40年を通じて減少しつつあるが、60年には62.8%だった投票率が、00年には51.2%、02年の中間選挙では40%にまで落ち込んだ。

 米国での選挙は徹頭徹尾カネに左右されている。02年中間選挙に対する米連邦選挙委員会の資料を分析したところによると、議会下院議席の95%、上院議席の75%が選挙資金をもっとも多くばらまいた候補者のものになった。特に、ブッシュ大統領は上下両院を掌握するために直接共和党の選挙資金集めに乗り出して、一年で約1億1000万ドルをかき集め、選挙資金集めの史上最高記録を打ち立てたという(AP通信、02年8月30日)。

 米国は、表向きには言論の「自由」やデモ、集会の「自由」を保障しているように装っているが、現実は正反対だ。

 02年5月、国際記者団体である「国境なき記者」は「世界報道自由」というタイトルの報告を発表し、「『9.11事件』後、米国は『反テロ』に関連した問題ではメディアに絶えず圧力を加え、報道の自由を制限している」と暴露した。

 同年8月6日に米国のある出版物が全国で行った世論調査によると、69%の人が米国の出版物が偏向報道していると主張し、3分の2は報道自体をまったく信じていないと述べたという(人民日報、03年4月4日)。

 一方、国際自由労組連盟は報告を通じ、米連邦政府機関に雇用された200余万人の労働者は、ストライキの権利を法的に禁止されていることを明らかにした。

 これだけではない。精神文化生活の貧困化が制度的に助長され、多くの人々を堕落と絶望、犯罪の道へと誘っているのが他でもない米国社会である。

 端的な例で、01年の麻薬常習者の数は前年比で増加、全人口の7.1%を占めるようになり、アルコール乱用者は人口の7.3%にあたる1660万人に達した(米保健厚生省の調査資料、02年9月5日)。

 米国は、各種差別による人権蹂躙でも世界的に最上位を占めている。

 何よりも人種差別が日々ひどくなっている。63年に発表された「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国連宣言」は第1条で、「人種、皮膚の色または民族的出身を理由にする人間の差別は、人間の尊厳に対する犯罪であり、国連憲章の原則の否定、世界人権宣言にうたわれている人権と基本的自由の侵害、国家間の友好的平和的関係に対する障害、および人民の平和と安全を妨害する事実として非難されなければならない」と指摘している。

 これに照らした場合、01年の1年間に米国で行われた人種差別的な犯罪行為は前年比で約1660件増えた9730件に達し、被害者は約1万2000人にのぼった。02年度の人種差別犯罪件数は7462件、被害者は9200人に達した(米連邦捜査局、02年11月25日と03年11月12日)。

 また、98−01年の間に、白人と少数民族出身の住民の財産差は21%増加した(米連邦準備制度理事会、03年1月22日)。

 米国司法政策研究所は02年8月28日、調査資料を発表し、過去20年の間に黒人服役者の数が5倍以上に増加したと述べながら、00年の1年間だけでも黒人服役者の数は服役者総数の約40%にあたる79万1600余人に達したと指摘した。ハーバード大学も02年に発表した報告で、人種と階層によって患者を差別的に接するのが米国保健分野の歴代的な伝統になっていることについて、具体的な資料に基づいて明らかにした。

 こうした甚だしい人種差別と関連し、米国の「ラッセル・サーチ基金会」などは共同資料を通じ、「米国社会に影響を及ぼす根深い病気は人種差別」だと批判した。

 女性や子どもに対する差別行為もさらに横行している。

 男性と同等の仕事をしても女性労働者は公正な報酬を受けていない。95−00年の間に米国の女性労働者がもらった報酬は、男性に比べ平均で12%低かった。また、同期間に女性が占める会社事務員の比率はわずか12%にしかならなかった(米議会報告、02年1月24日)。

 米国では、女性が各種犯罪の第1犠牲者となっている。

 周知のように米国では毎年、平均約4000人の女性が殺害され約600万人が各種の暴行を受けている。01年の1年の間に女性に対する性暴行は1日平均で248件発生したが、被害を受けた女性の数は9万491人にのぼった(米連邦捜査局、02年10月28日)。02年の女性に対する性暴行件数も4.7%増の9万5136件にのぼった(米連邦捜査局、03年10月27日)。

 米国では、女性の殺害率が他の西欧諸国に比べ5倍も高いという(ハーバード大学、02年4月17日)。米国では特に、女性に対する現代版奴隷貿易が横行し、社会的に大きな物議を醸し出している。約10万人の女性が最近の2年間に米国で売買され、約5万人の女性が性奴隷生活を強要されたという。

 国連総会で59年11月20日に採択された「子どもの権利宣言」は、第2条で「子どもは、特別の保護を受け、また、健全かつ、正常な方法および自由と尊厳の状態の下で身体的、知能的、道徳的、精神的及び社会的に成長することができるための機会および便益を、法律その他の手段によって与えられなければならない」と指摘している。

 しかし米国では、こうした権利の保障には何の関心も払われていない。米国の児童貧困者の数は、公式に登録されただけでも1210万人(米連邦統計局、03年9月26日)にもなっており、ニューヨーク市では昨年12月現在で、ホームレスの児童数が90年代の最高記録より2倍に増え、1万7000人に達したという。

 ニューズウィーク(03年11月号)が調査結果を引用して明らかにしたところによると、全国的に920万人にのぼる子どもが「医療保険」に加入できないことで、治療を受けることができないでいる。また、一番遊び盛りの歳の子どもたちが、危険な労働現場で生命と健康に対する脅威にさらされながら苦役に苦しんでいる。

 ロイター通信が米連邦政府の統計資料を引用して報道したところによると、米国で不法雇用された少年労働者の数は29万人に達している。そのうち約1万4000人が14歳未満の子どもだという。

 この他にも02年8月6日、ブッシュ大統領自身が認めたように米国では毎年、約5万8000人の子どもが拉致されている。あらゆる社会悪に打ちひしがれ自殺の道を選ぶ子どもが増えているが、02年7月14日に米行政府が公式発表した調査報告でも、00年には全国的に約300万人の子どもが自殺、もしくは自殺を試みたという。

 こうした事実は、米国こそ人権が制度的にかつ徹底的に蹂躙、抹殺されている「人権抹殺国」ということをはっきりと示している。

 このような米国が、「人権裁判官」のようにふるまいながら人権を云々することに抗議し、世界が最悪の人権犯罪集団である米国を人権法廷の被告席に座らせるべきだと主張するのはあまりにも当然のことだ。

 米国は、人権騒動を繰り広げながら他国の内政に干渉するための道具として人権を悪用すればするほど、さらに大きな孤立と非難だけが待っているということを知らなければならない。(朝鮮通信)

[朝鮮新報 2004.3.12]