〈金剛山で行われた北南大学生交流会〉 「好奇心」から「一体感」へ |
「北の大学生と見る金剛山は一段と勇壮で美しい」。観光で一度、金剛山を訪れたことがあるという南の大学生は興奮した口調で語りながら、記念写真のシャッターを押しつづけた。13日、金剛山での北南大学生による大規模な交流会。6.15共同宣言発表後、金剛山では北と南の各階層がさまざまな共同行事を行ってきたが、大学生だけによるイベントは、その「興奮度」が違った。初対面の緊張感は一瞬にして去り、まるで旧知のメンバーが集ったような打ち解けた雰囲気が満ちあふれた。 「6.15時代の役割」学ぶ
イベントには北から約100人、南から約700人の大学生が参加した。南のメンバーはほとんどが今年3月に入学したばかりの新入生であった。 「わたしたちは2000年6月15日の感動を今も忘れることができません。その歴史の流れの中に今日のイベントもあるのです」 南側参加団の団長を務める慶熙大学総学生会長ユンイ・ソユンさんによると、イベントの目的は新入生たちに「6.15時代を生きる大学生の役割」について学ぶきっかけを与えることにあるという。南では「大学生気質の変化」が指摘されて久しい。80年代、「全大協」(全国大学生代表者協議会)の活動に参加した学生たちのような政治に対する問題意識や変革志向が薄れているというのだ。ユンイさんは、そのような否定的な見解には賛同せず、「過去の踏襲ではなく、その時代にあった大学生の活動方式がある」と指摘した。 北側も、南の大学生たちの意図を尊重してイベントを準備した。ある関係者は、「今の大学生たちが統一した祖国を担うことになる」とイベントの意義を強調した。北南学生会談実現闘争、「全大協」林秀卿代表の平壌訪問から約15年の歳月が過ぎ、北と南の大学生が金剛山で「合法的」に交流する時代が訪れた。確かに今の大学生たちは、より広い活動の場が与えられている。 南の大統領弾劾を非難 交流会場である現代文化会館。北の大学生一行が姿を現わすと歓声が上がり、南の大学生のカメラのフラッシュが一斉に光る。南の大学生にとって初めて出会う「北の大学生」は何よりも「好奇心」の対象であった。テレビで見た「美女応援団」のような女子学生を目で追いながら「やはり『南男北女』だ」と話す男子学生の姿もあった。 統一討論会では北と南の大学生が発言した。違う環境で生まれ育ったにもかかわらず、彼らの主張はひとつの方向性を示していた。発言に耳を傾けるうちに大学生たちはお互いの「違い」よりも「共通点」により強く心を動かされたようだ。 「正義と真理を追究する青年たちは、外国勢力に幻想を抱き、それに依存してこそ平和も経済発展も実現できるという虚無的な考えを許してはなりません」 金策工業総合大学のペク・ピョルミさんは討論の中で、一昨年に起きた米軍装甲車による女子中学生殺害事件に触れた。感極まった彼女に会場から「泣かないで!」と声援が上がった。 熱気に包まれた会場はひとつの大学のようであった。ペクさんは討論会の後、自分の発言に対する南の大学生の反応について、「想像していたよりも見慣れた表情、親しみを感じる目の輝き。懐かしい友達に会ったような気持ちです」と感想を述べた。 討論会で取り上げられたテーマは、「6.15共同宣言実践のための課題」。イベントの前日、南の国会では大統領に対する弾劾訴追案が通過した。現職大統領の権限停止という異常事態は、大学生たちの「課題」を具体化させる契機となった。大学生たちは、大統領に対する弾劾を主導する「ハンナラ党」などを「外国勢力に追随する反6.15勢力」として糾弾し、それらの勢力を一掃するための行動を訴えた。 「南男北女」カップルも 「政治に対する関心が低い」といわれる大学生たちも統一問題を論じる時、「ハンナラ党」に代表される保守勢力の動向に無関心ではいられない。今回のイベントには「全大協」の後身である大学生組織「韓総連」の幹部たちの参加も予定されていたが、南の保守勢力の圧力によって実現しなかった。
討論会の後に行われた宴会では、北と南の大学生が自由な雰囲気の中で会話を楽しんだ。 「北にも受験戦争があるのか」「南北の大学で定期的な学術交流を実現したい」 生活的な話題から北の経済事情や核問題までさまざまな問題で意見を交換した。南から参加した各大学新聞の学生記者たちはその光景を熱心に取材した。「イベントに参加できなかったすべての学生にこの感動を伝える」のだという。京畿大学の新聞「京大新聞」のリ・ソンジン記者は、「今日は南北文化公演のスケッチを担当したが、統一の日には白頭山で行われる祝賀イベントのスケッチをしてみたい」と語っていた。 約10時間のイベント。短い交流であったが、大学生たちはそれぞれに、「6.15時代に生きる希望と喜び」をかみしめていた。イベントを締めくくる金剛山共同登山の場面では「近い将来、『南男北女』のカップルが誕生することを信じよう」というジョークも飛び交った。 そして涙の別れ際には、声を合わせ「ウリヌンハナ(われらはひとつ)」と、力強く叫んだ。(高城発=金志永記者) [朝鮮新報 2004.3.22] |