〈7.1措置後の平壌-下-〉 設備補修で電力増産 |
一昨年も秋から約3カ月間平壌に滞在したが、当時と比べると今回はそれほど停電による不便を感じなかった。市内の工場、家庭に電力を送っている平壌火力発電連合企業所の関係者によると、以前より電力生産は伸びているという。「7.1措置」の効果と言える。 研究機関と契約
一昨年末、米国が94年の朝米基本合意に伴う補償措置として行ってきた重油提供を一方的に中断、火力発電に大きな支障が出ると思われた。 しかし、昨年から長年中断されてきた光復通りの温水暖房が再開されるなど、電力事情は前年より良くなっているようだった。 この時、光復通りの住民たちが、長らく縁のなかった暖房のスイッチがどこにあるのかをすっかり忘れていて、それを探し出すのにちょっとした騒ぎになったという逸話も耳にした。 同企業所では元来、重油は着火や温度調節など補完的に使ってきたが、創業から40年余、設備が老朽化したため近年は重油に頼って発電していると聞いていた。不思議に思い訪ねてみた。 ロ・チュンギュン第一副技師長(39)によると、米国の重油提供中断後、老朽化した設備の補修・修理を急ピッチで推し進めたという。多くの技術的な問題が提起されたが、金日成綜合大学をはじめとする研究機関の科学者、技術者らが誠心誠意支援してくれた。まめに電話が来るようになり、何か問題が起きるたびに訪ねてきては速やかに解決してくれたという。 ロさんは「7.1措置」の効果だという。それ以前は、外部技術者の手助けは「支援労働」の性格を帯び、報酬は「ただ同然」だった。しかし「7.1措置」以後、こうした支援にも「相応の報酬」を支払うようになった。外部の技術者に問題の解決を依頼する場合、内部で討議を重ねて契約を結び、指定された期日内にきちんと実行されれば代金を支払うという。 ロさんは、「従業員の間でも好評。双方の信頼関係があつくなった」と振り返った。 「7.1措置」は、科学技術部門にも適用されている。科学院では昨年末から「知的製品流通制度」を施行した。科学技術の「売買」を意味するが、それを奨励することによって、経済活動に有意義な技術を全国に速やかに普及させる点に目的があるという。 ある関係者は、「有形製品には価格がある。科学技術など無形製品に対する評価も正確にする必要がある。科学者、技術者の意欲向上につながれば」と期待を寄せていた。 農村にも効果波及 農村での「7.1措置」の効果はどうか。 「7.1措置」以後、分配において平均主義がなくなった。以前は100余人からなる「作業班」の実績に応じて平均的に分配されていたが、現在、分配単位は数十人単位の「分組」に移行。生産量を増やした分、収入が増えるとあって農民たちは一生懸命になり、いつ何を植えれば収穫が増え収入増につながるのか、など論議も盛んだった。 朝鮮を代表する青山協同農場では、農産物の質を向上させることに気を配っていた。野菜などは、大きさと傷の有無で価格が異なってしまうので、上質のものを生産することに努力を傾けるようになったという。 「7.1措置」後、もっぱら西側のメディアは朝鮮がいかにも市場経済化しているような報道をしている。しかし、現地の人々は口をそろえて「社会主義を守りさらに発展させるため」だと話していた。たくさん稼げば、自らの生活も良くなり、国にもその一部を納入するので、個人にとっても国にとっても良いと会う人みなが歓迎していた。 朝鮮は、あらゆる面でまだまだ豊かとは言えないが、労働意欲に満ちあふれた市民と触れ合い、活気ある街を歩きながら、朝鮮経済は一歩一歩上昇軌道に乗り始めた、と感じた。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2004.4.1] |