そこが知りたいQ&A−北南関係は進展するのか? |
Q 南の国会が新たなスタートを切った。北南関係の進展が期待されているが。 A 4月15日に実施された第17代国会議員選挙の結果、与野党の議席数が逆転した。与党・開かれたウリ党は、49だった議席数を152に伸ばした。総議席数299の過半数になる。一方、最大野党ハンナラ党は、137の議席数が121に減った。次いで、労組を母体とする民主労働党が10議席を獲得、初めて国会進出を果たし、第3党の地位についた。この他、民主党9議席、自民連4議席などとなった。 これまで北南関係は、国会を支配していた親米保守勢力の抵抗で、政権の動きに制限が加えられ、紆余曲折を強いられてきた。が、与党躍進という選挙結果により、盧政権はしっかりとした政治基盤を整えたので、対北事業をスムーズに推進できる、との観測が圧倒的だ。 Q 北との対決姿勢を取ってきたハンナラ党にも変化が見られるというが。 A 朴槿恵ハンナラ党代表は選挙前、「これからは(北南間の)対決ではなく、柔軟で未来志向的な対北政策を定立させていく」と明言した。 4月22日に平安北道・龍川駅で起きた列車爆発事故に対しても、政府当局と赤十字、民間団体などの救援活動を歓迎し、さらには党レベルで募金運動を展開することを決めた。 南社会では、「事故は北だけではなく、民族の災難」(統一連帯の声明)だという世論が拡散している。6.15共同宣言発表以後、南社会の大きな変化だと言える。この世論に後押しされる形となった。 ちなみに、ウリ党は、党レベルでの募金活動を展開。また、第3党の民主労働党は、同胞愛を発揮し、支援を積極的に行うという立場を明らかにしている。 Q 北を「敵」と定めた国家保安法の改正、撤廃の声が強まっている。 A 南のインターネット新聞「オーマイニュース」によると、保安法廃止世論は広がりを見せ、国会の10大課題のひとつに上げられているという。 今回当選した議員中、撤廃、改正を主張しているのは計93.7%にものぼる。韓国日報の調査によると、32.2%が保安法撤廃を、61.5%が改正を望むとしている。 ウリ党内では、「保安法は必ず廃止されるべき」(イム・ジョンイン議員)という主張が多数で、このような動きは、「少数与党時代の党内進歩派の声より、はるかに大きい。国防部などは、一番憂慮している」(ソウル新聞4月28日付)くらいだ。 また、民主労働党は保安法廃止を党の方針としている。 一方、ハンナラ党は、「考えてみる余地がある」(朴槿恵代表)との立場だ。朝鮮日報によると、廃止の意見はさすがにないが、90.7%の議員が改正は必要だとしている。 しかし、党内では、「ハンナラ党が保安法改正を主導すべき」(キム・ドクリョン議員)、「保安法は党の有り様と直結する問題。ハンナラ党は保守政党として進むべき」(キム・ヨンガプ議員)など意見が分かれており、今後、保安法廃止、改正論議はさらに激化しそうだ。 Q 一部で論議されてきた北南国会会談実現の展望はどうか。 A ウリ党は、北南の国会会談の推進を総選挙の公約に掲げていた。現在、8.15の会談実現に向けた準備作業に入っているという。 北側は、安京浩祖国平和統一委員会(祖平統)書記局長が4月上旬、中国・延吉で行われた文益煥牧師平壌訪問15周年記念北南統一討論会で、非公式ではあるが、「統一を志向する国会が構成されれば(北南国会会談を)検討する」と前向きな姿勢を示していた。 しかし、祖平統は5日、ハンナラ党議員らで構成される「国会弾劾訴追委員団」が龍川事故と結び付けて北の体制を非難したことについて談話を発表、「われわれは国会弾劾訴追委員団が正式謝罪しないかぎり、これらが属した政党を一切相手にしない」と警告した。それだけに、国会会談の実現は、南側の対応にかかっていると言える。 Q 総選挙結果に対する北の反応は? A 今回の選挙結果について北のメディアは、「6.15共同宣言の勝利」だと肯定的に評価している。 労働新聞4月19日付論評は、「6.15共同宣言の勝利であり、新たなものを志向する人民大衆は必ず勝利するということを確証した」としながら、「米国と極右保守勢力が人民の上に君臨する時代は終わり」「事大売国、分裂対決勢力に甚大な打撃を与えた」と指摘。また、民主朝鮮4月20日付論評も、「自主と民主、統一へと力強く進む大勢の流れは戻すことはできない」と強調した。 今後の北南関係の進展に対する期待が高まっているが、「総選挙の結果に対し不安を抱いている米国が大統領弾劾を造作したように、今後、どんな計略をもくろんでいるか分からない」(民主朝鮮4月20日付)のも事実だ。米国の動きを注視し、警戒すべきだろう。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2004.5.10] |