南社会で「国家保安法」撤廃論議 |
南朝鮮で、北を「敵」と定めた「国家保安法」(保安法)の撤廃を求める声が高まっている。4月の総選挙により与野党の議席数が逆転した国会が6月からスタート。撤廃、改正問題が議論されることが予想される。しかし一方では保安法による統一運動関係者に対する弾圧は続いている。6.15時代にふさわしい法制度の整備は重要な政治課題として浮上している。
国会前で1人デモ 南の検察当局は総選挙から約10日後の4月26日、「6.15南北共同宣言実践と韓半島の平和のための統一連帯」(統一連帯)のミン・ギョンウ事務局長に懲役10年、資格停止10年を求刑した。南の検察当局は、2000年から祖国統一汎民族連合(汎民連)共同事務局との電話、ファックスなどのやり取りをスパイ活動とし、昨年12月、「国家保安法」違反容疑で拘束、起訴していた。しかしミン局長は、これはスパイ活動ではなく、6.15時代に合った統一運動だと主張している。 ミン局長の無罪釈放運動を行ってきた「リ・ジョンリン、ミン・ギョンウ無罪釈放対策委員会」(以下、対策委員会)をはじめ、多くの市民団体は、求刑が言い渡された直後から、保安法撤廃を主張するキャンペーンを繰り広げてきた。 対策委員会は4月29日、ソウル地方検察所の前で記者会見を開き、検察側を糾弾した。 対策委員会は抗議書簡を通じて、「歴史の遺物である国家保安法をもって、民族の統一、6.15共同宣言の全面履行のための道を歩んできた愛国者に重い求刑を言い渡したのは、共同宣言を破たんさせ、南北関係を対決と政争、緊張に追いやる凶悪な政治的陰謀」だと非難しながら、統一団体の関係者を即時釈放することを求めた。 韓相烈統一連帯代表も、糾弾声明を発表し、今後、保安法廃止のため総力をあげること、公安、検察解体運動を繰り広げていくことを宣言した。 また、オ・ジョンリョル全国連合代表も、「(当局は)龍川事故被災民を救護する一方で、統一のために働いた人を投獄し、統一を妨害している」と非難した。 対策委員会では、4月30日から国会議事堂前でミン局長の無罪釈放を求める1人デモを行っている。 撤廃、改正に弾み 国会議事堂前ではミン局長の夫人、キム・ヘジョンさんも1人デモを行っている。キムさんは、「今、龍川事故をきっかけに北の同胞を助ける運動を展開し、平壌での統一労働者大会参加のため数百人の労働者が北を訪問し、開城工業地区建設が行われている時期に、それを主導した人を罰するのは統一時代に合わない」としながら、「国家保安法」廃止に各界各層が立ち上がってほしいと述べた。 キムさんがデモを行っている際、国会議員が慰労する姿も見られた。 開かれたウリ党の宋永吉議員は、「国家保安法を一日も早くなくすよう努力する」としながら、「それができなかったら、ウリ党が第1党になった意味がない」と保安法撤廃に自信を見せたという。 北南対話ムードの中で南社会では、宋斗律教授や今回のミン・ギョンウ事務局長に対する有罪判決が下されるたびに、「国家保安法」存続に疑問の声が上がってきた。 4月に行われた総選挙では、与党ウリ党が過半数を制し、保安法廃止を公約とする民主労働党が第3党に躍進、改正、廃止論に弾みがついた。世論に後押しされるように、守旧派のハンナラ党内でも議員の約90%が改正は必要だと答えている。 次期国会での最大の争点として、注目される。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2004.5.14] |