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イラクの南朝鮮民間人拉致、殺害で市民団体、派兵撤回求め相次ぎ集会

21日からソウル市内中心で始まった派兵反対「キャンドル集会」 [写真=聯合ニュース]

 イラクで南朝鮮の民間人が武装グループに拉致、殺害された事件を契機に、南朝鮮でイラク派兵反対の声がさらに高まっている。多くの市民団体が相次いで集会、記者会見を開き、拉致されたのは、「派兵を強行した政府の責任」「派兵を強要した米国のせい」だと厳しく追及している。与党・開かれたウリ党の若手議員ら34人が追加派兵の中断を要求する異例の声明を発表するなど、政局も大きく揺れている。

 南朝鮮の貿易会社員の拉致、拘束が報じられたのは20日。多くの市民団体がイラク戦争開戦当時から反戦運動を展開し、派兵にも反対してきたが、その声は拉致報道直後から一気に高まった。

 365の市民団体で構成されるイラク派兵反対国民行動は21日記者会見を開き、会見文で「政府は追加派兵を即時中断し、派兵に対する国民世論を受け入れる実質的な再検討を始めるべき」だと要求。

 会見でホン・グンス代表は、「予想したことが現実になってしまった」と指摘しながら、「大統領弾劾のように、イラク派兵方針は市民の抵抗で必ず撤回させる」と語った。

 また、リ・テホ政策室長は、「人民の大多数が派兵の正当性を失ったと思っている。派兵方針は速やかに検討する必要がある」と強調した。

 今回の事件に関する非難は、南政府だけでなく、米国にも向けられている。

 キム・ギシク共同運営委員長は、「拉致された金鮮一氏が殺されたとしたら、イラク人によってではなく、戦争を起こし、派兵を強要した米国のせいだ」と非難していた。

 一方、インターネット利用者による呼びかけで21日からソウル中心街で派兵撤回を要求する「キャンドル集会」が開かれている。

 22日にも記者会見を開いた派兵反対国民行動は、23日から30日までを「イラク派兵撤回要求国民行動週間」に設定。国会前で集会を開き、30日には1万人規模の集会を開く予定だ。

ウリ党議員が声明、各党も

 開かれたウリ党の「国家発展のための新たな模索」(新たな模索)の会に所属する34人の国会議員らは21日、対米非難の声明を発表した。ブッシュ政権が間違った情報を同盟国に提供し、イラク戦争を合理化したことに対する解明と再発防止を促す「米国9.11調査委員会の中間発表に対するわれわれの立場」を発表し、事件の根本を問いただしている。

 声明は、「不正確な情報という次元を超え、わい曲と操作の可能性のある情報に基づいて、ひとつの主権国家を国連決議や同盟国の充分な同意なしに侵攻することは、国際秩序を害する深刻な問題」だと指摘。一方で、「北の情報の大部分を米軍当局に依存している状況で、米国の不正確な情報に基づいた対北軍事作戦の可能性は深刻な結果をもたらすことになる」「イラク戦争のようにわい曲された情報に基づいた決定が朝鮮半島で絶対に起きないよう共同努力することを要求する」とも強調した。

 民主労働党も同日、記者会見文を発表し、南朝鮮政府はイラクへの追加派兵を中断し、派兵された部隊の撤退作業に着手すべきだとしながら、「今回の拉致事件は、派兵が平和と再建のための行動だと受けとめられていないことを端的に表している。派兵を強行すれば、さらに大きな不幸に見まわれるということを肝に銘じるべきだ」と警告した。

 一方、イラク派兵に積極的だったハンナラ党も21日、スポークスマン論評を発表し、「(追加派兵発表直後という)微妙な時点で起きた事件で、以前とは違った様相」だとしながら、テロの標的という意味では南朝鮮も決して例外ではないと認めた。

 こうした論議が起きているにもかかわらず、南政府は依然として派兵方針に変わりはないとしている。

 22日、には金鮮一氏が殺害された事実が報じられ、南社会には大きな衝撃が走った。

 殺害報道を受け盧武鉉大統領は23日、談話を発表。「派兵はイラクの復旧と再建のため」だと説明し、従来の方針を強行する姿勢を見せたが、世論の反発は必至だ。

[朝鮮新報 2004.6.24]